研究紀要43号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究U (第2・3年次) - 014/049page

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を得ることがねらいであることに留意し,全体の傾向や記述方式等の資料から総合的に判断し,また,問題を的確に把握することにより量より質への転換につとめ,妥当性のある評価と動態的な評価が可能になるように配慮したいものである。

B 集計票の活用

 評価観点によるチェック・リストの結果を数量的に処理するためには,使いやすくまとめやすい集計票が必要である。当評価試案ででは,二種類の評価票に適応する集計票を用意し,その便宜を図ることにした。特に,各領域及び系列のプロフィール化と経営過程のP−D−Sの集計処理が効率的に行われるよう工夫し,全体的な傾向の把握が可能であるよう考慮した。集計票の活用による効率的,客観的な評価となることを期待したい。

 これまで説明を試みてきた当試案の特色を項目的に表すと,次のようにまとめることができる。

○ 教育的機能を重視し,教師の教育活動を「目標系列」として評価領域に取り上げたこと。
○ 動態的な経営観に立ち,四つの視点から動態的評価を図ろうとしたこと。
・ P−D−Sの経営過程に即した評価としたここと。
・ 評価機能を生かしたフィードバックできる評価としたこと。
・ 評価観点の文章表現の吟味による動態的な側面からの評価としたこと。
・ 領域ごとに自由記述の欄を設けた評価としたこと。
○ 実用性を考慮し,評価票及び集計票に工夫を加えたこと。
・ 学期末用,年度末用の二種類の評価票を用意し,評価の恒常化を図ったこと。
・ チェック・リスト方式と記述式を併用し,実用性,妥当性を図ったこと。
・ 集計票を用意し,評価の集計処理の効率化を図るとともに,全体傾向の把握を可能にしたこと。

5 評価の実施方法

 学校経営評価を効果的に実施するためには,経営評価のねらいにこたえる評価試案の開発と同時に,教育現場の各学校の学校経営に関する教職員の意識や雰囲気も,極めて重要な役割をもっている。学校経営に対する意識の高い学校であれば,経営評価の意義や必要性についての理解がなされているので,経営評価の実施も抵抗なく行われるであろう。そしてその結果にも信頼性が高まり,学校経営評価のねらいも達成されることになる。しかし,反対に意識の低い学校であれば,評価実施以前に問題が起き,その効果も期待できないことが予想される。

 学校経営評価を実施するにあたって留意しなければならないことは,教職員の意識のあり方を評価実施の過程で,いかに培い高めていくかにある。そのためには,評価票の作成を含めて,経営評価を実施していく過程そのものに着目し,実施の手順,組織,時期等の実施方法を十分配慮する必要がある。

 また,教職員の意思が学校経営に直接影響を及ぼし,校長の意思決定に参加できる場合は,評価−計画の過程であり,経営評価を基盤とした計画作成の段階であるといわれていることから考えても,経営評価を実施する過程を大事に取り扱うことは意義があると考える。当研究における評価の実施方法についての考え方を,手順,組織,時期の三つに分けて説明する。

(1) 評価の手順

 評価の手順を評価活動の展開過程から考えてみると,評価の計画・準備→評価の実施・処理→評価結果の考察・活用の順序で進められるのが一般的である。この手順に従って実施されるきめこまかな一連の評価活動があってこそ,はじめて経営評価のねらいが達成され,評価機


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