研究紀要43号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究U (第2・3年次) - 015/049page
能も生かされるわけであり,教職員の意識の高まりも期待されると考えられる。経営評価についても,P−D−Sの経営過程の考え方に立ち,実施の手順を計画(P)・実施(D),評価(S)の三段階に大別して,その主な活動を整理してみると,表4のようにまとめることができるであろう。
上記の経営評価の実施の手順は,評価活動の過程を予測し,P・D・Sの三段階に分けて,その流れを図式化したものであるが,その詳細については,さらに,次の「学校経営評価の実際」の中で説明を加えることとする。
(2) 実施の組織
教職員の意見を学校経営及び経営評価に反映させるためには,その意見や意思の集約と共通理解を図る組織・運営が必要である。評価活動を行うその都度,全体会や職員会議がもてれば理想的かもしれないが,現場の実態から推測すると,度重なる全体での話し合いの機会を設けることは,効率面や時間的制約から難しいのが現状であろう。一般的には,代表委員の参加による企画・運営委員会などの組織で代行し,委員会←→全体会の方法で意見が集約され,共通理解が図られている。また,評価委員会や評価部(係)のような専門的な特別な組織を設定して,その任にあたらせている場合も考えられる。
いずれにしても,経営評価が効果的にかつ効率的に実施できる組織をつくり,計画的,組織的な評価活動の展開により,教職員の意思を十分生かすように配慮することが肝要である。教職員の意識の変容は,評価の手順のみならず評価の組織・運営によっても大きく左右されるものであるから,教育現場の各学校の実状に応じて連絡・調整が可能な組織づくりに配慮したい。組織・運営の工夫は,評価実施の組織のみならず,学校全体にかかわる大きな課題である。動態的な学校経営の観点からも,学校の規模,組織の人員等の実態をふまえた各学校の創意と工夫が期待されるところである。
実施の手順と組織の関連については,表5のようにまとめたが,各学校の実状に応じた組織・運営により実施することが望ましい。
表5 経営評価の手順と組織の関連
段階 手 順 組織 校長
(教頭教務) 委員会
(部) 全体会 計画ア 共通理解
イ 評価計画
ウ 評価票作成 ○
○
○
○ ○ 実施ア 評価票記入
イ 結果の集計 ○
○ ○ 評価ア 結果の考察
イ 改善策検討
ウ 計画立案 ○
○
○ ○
○ ○
○
○