研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -004/063page
互関連的にとらえる動態的な考え方への発想の転換を図ることが必要になってくるであろう。要約すれば,「動態的に見る教育課程経営」が本研究の大きな課題であると考えることができるであろう。
(2)教育課程を経営的発想に基づき,動態的に見た場合,最終的に一番問題になることは,評価―次年度計画改善の過程であり,評価の考え方,資料収集のしかた,計画改善への生かし方等,教育課程評価の具体的な方法であろう。即ち,評価過程に焦点を当てた「教育課程評価試案の開発」が,本研究における最終的な課題であると考えることができるであろう。
(3)教育課程経営が学校教育の実際において効果を発揮するためには,教育課程の内容や教育活動だけにとどまらず,それを支える経営活動も大きくかかわってくるものと考えられる。経営過程における教職員の意思決定,協働意欲等,人的条件への配慮や組織・運営のあり方も大切な要因になってくるであろう。即ち,組織的・計画的な「教職員の経営参加」についても,研究課題として取りあげる必要があるものと思われる。
2 研究の視点
教育課程の展開に伴う実践上の諸問題を予測し,集約すると,上記のような三つの課題にまとめることができるが,これらの課題は,本研究にかかわる中心的な課題であるとも考えられる。そこで,それぞれの課題に対して,いくつかの研究の視点を設定することにより,本研究の方向性を示すとともに,意図的,計画的な研究が進められるように配慮した。
(l)動態的に見る教育課程の経営
紀要第43号で論述されている動態的な学校経営観は,動態的な教育課程経営へと発想の転換を図ろうとする本研究の基盤をなすものであるが,特に,次の諸点は,本研究を支える基本的な考え方となるものである。
1 学校経営の概念を学校経営現代化の方向に沿って考えようとするとき,学校経営は,学校の組織・運営が内部的に相互に関連・調整しあうなかで,PDSの経営過程に即して経営的機能が発揮されるという動態的な経営観に立った見方をすることが大切である。教育課程の実際においても,計画,実施,評価,その更新計画といった経営過程に即した動態的な流れで考えていく必要がある。
2 原 実氏が「学校経営概念化」の中で述べている学校教育本来の目的を達成するための教育的機能である目標系列の教育活動と,その教育活動が効果的に働くように支援促進するための経営的機能である条件系列の経営活動を,相互の関連において統合的にとらえることが,動態的な経営をとおした学校教育の現代化につながるものであるとする考え方を教育課程の実際においても十分考慮する必要がある。(註1)
3 学校経営が,計画―実施―評価と円環的に把握される中で,その流れに沿って評価活動がなされなければ,経営評価の機能は生かされないことになる。P−D−Sの各段階がそれぞれ一段階として部分的にとらえられるだけでなく,P−D−S−P′に至る一連の経営過程の中で相互関連的にとらえられ,常に評価の機能が生かされることが重要である。これは,単に評価活動だけでなく,学校経営を各段階ごとに部分的,断片的なとらえ方から,全体的,巨視的な立場で総合的にとらえようとする動態的なとらえ方への発想の転換を意味している。教育課程の実際においても,このような動態的な経営観から見直し,発想の転換を図る必要がある。
(2)教育課程評価試案の開発
教育課程をマネージメント・サイクルに乗せ,