研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -009/063page
目的を考えた場合当然のことといえる。このことについて,原 実氏,安彦忠彦氏は次のような考えを紹介している。
原 実氏は,「学校の営みで主流をなすのは,学校の目標価値を学年や学級の目標に具体化し,さらに一人一人の子どもに達成可能な努力目標として取り組ませ,これを教育課程にそった内容の学習を通して身につけさせていくはたらきである。大まかにいえば,教育課程の実施であり,その具現の場としての授業活動である。この目標から授業にいたるはたらき,即ち,目標系列に属する教育活動のはたらきが学校教育本命の営みである。……(中略)……学校経営とは,学校教育の中軸(教育課程)の中核である授業に不可欠な条件・機能がはたらき,さらに学校として採用したいくつかの十分条件が授業にはたらいていく方法や進め方であるということができる。」(註2)と述べながら,子どもを担当する教師一人一人が授業にまつわる諸条件・組織機能を活用し,創意を発揮していく真の経営参加を強調している。
安彦忠彦氏は,学校経営における.教育課程経営の位置づけについて次のように説明している。「学校の教育活動は教育経営的観点からみると,教育という機能と管理という機能の二つをもち,後者は前者の補助機能とされることがある。そして,この二つの機能はそれぞれ教授学習過程と経営管理過程においてはたらき,両過程を統一的・相即的にはたらかせるという観点の必要なことが強調される。このようを見方に従うならば,教育課程の経営は,まさに二つの過程の接点ないし交叉点をなすものであり,経営・管理機能が最も直接に教育機能に作用する最重要の活動である。(図1)…‥…(中略)‥…教育課程の経営は,学校経営の一部に過ぎないが,しかし,それは他の部分の経営活動とは異なり,直接に教授学習活動を規定する経営活動である。この意味で教育課程の経営が,学校経営活動の中核に位置づけられ,すべての経営活動が自覚的にそれに向けて焦点づけられていることが必要である。(図2)」(註3)
さらに,同氏が,教育課程を具体化する個々の活動として,教師は教育目標に照らして,何を,どう教えるかを計画し,実施し,評価し,改善し,また新たに計画し,…‥という活動のサイクルを繰り返すことになるが,これは教師一人一人が教育課程を経営していることである,と述べている点は,前述の原 実氏の考えに通ずるものである。
図1 教育課程経営の位置と意義
図2 教育経営,学校経営,教育課程経営の概念相互の関係
原・安彦両氏の教育課程の経営に関する意義や学校経営の中核であるというとらえ方は,異論を待たないところであるが,本研究を進めるに当たっては,教育課程経営の意義と位置づけについて,福島県教育庁義務教育課編「学校教育の手引―新版」で述べている。次のとらえ方に基づいていくことにする。
「学校経営は教育課程の編成・実施・評価を核として営まれる。従って,教育課程の編成・実施・評価改善という一連の活動が適切かつ効果的に行われるよう配慮し,必要を手だてを講ずる管理活動は,学校経営の中核として,学校経営内におけるあらゆる活動と密接にかかわりあいながらも,しかも,その要となる役割をになっているものである。それはまた,教育課程が学校経営の一環として,総合的・全体的に推進されるなかで必要とされる作用であるともいえよう。」
註1:「新しい学校経営の条件」原 実著 (学陽書房)
註2: 同 上目的を考えた場合当然のことといえる。このことについて,原 実氏,安彦忠彦氏は次のような考えを紹介している。
原 実氏は,「学校の営みで主流をなすのは,学校の目標価値を学年や学級の目標に具体化し,さらに一人一人の子どもに達成可能な努力目標として取り組ませ,これを教育課程にそった内容の学習を通して身につけさせていくはたらきである。大まかにいえば,教育課程の実施であり,その具現の場としての授業活動である。この目標から授業にいたるはたらき,即ち,目標系列に属する教育活動のはたらきが学校教育本命の営みである。……(中略)……学校経営とは,学校教育の中軸(教育課程)の中核である授業に不可欠な条件・機能がはたらき,さらに学校として採用したいくつかの十分条件が授業にはたらいていく方法や進め方であるということができる。」(註2)と述べながら,子どもを担当する教師一人一人が授業にまつわる諸条件・組織機能を活用し,創意を発揮していく真の経営参加を強調している。
安彦忠彦氏は,学校経営における.教育課程経営の位置づけについて次のように説明している。「学校の教育活動は教育経営的観点からみると,教育という機能と管理という機能の二つをもち,後者は前者の補助機能とされることがある。そして,この二つの機能はそれぞれ教授学習過程と経営管理過程においてはたらき,両過程を統一的・相即的にはたらかせるという観点の必要なことが強調される。このようを見方に従うならば,教育課程の経営は,まさに二つの過程の接点ないし交叉点をなすものであり,経営・管理機能が最も直接に教育機能に作用する最重要の活動である。(図1)…‥…(中略)‥…教育課程の経営は,学校経営の一部に過ぎないが,しかし,それは他の部分の経営活動とは異なり,直接に教授学習活動を規定する経営活動である。この意味で教育課程の経営が,学校経営活動の中核に位置づけられ,すべての経営活動が自覚的にそれに向けて焦点づけられていることが必要である。(図2)」(註3)
さらに,同氏が,教育課程を具体化する個々の活動として,教師は教育目標に照らして,何を,どう教えるかを計画し,実施し,評価し,改善し,また新たに計画し,…‥という活動のサイクルを繰り返すことになるが,これは教師一人一人が教育課程を経営していることである,と述べている点は,前述の原 実氏の考えに通ずるものである。
図1 教育課程経営の位置と意義
図2 教育経営,学校経営,教育課程経営の概念相互の関係
原・安彦両氏の教育課程の経営に関する意義や学校経営の中核であるというとらえ方は,異論を待たないところであるが,本研究を進めるに当たっては,教育課程経営の意義と位置づけについて,福島県教育庁義務教育課編「学校教育の手引―新版」で述べている。次のとらえ方に基づいていくことにする。
「学校経営は教育課程の編成・実施・評価を核として営まれる。従って,教育課程の編成・実施・評価改善という一連の活動が適切かつ効果的に行われるよう配慮し,必要を手だてを講ずる管理活動は,学校経営の中核として,学校経営内におけるあらゆる活動と密接にかかわりあいながらも,しかも,その要となる役割をになっているものである。それはまた,教育課程が学校経営の一環として,総合的・全体的に推進されるなかで必要とされる作用であるともいえよう。」
註1:「新しい学校経営の条件」原 実著 (学陽書房)
註2: 同 上
註3:教育学講座7「教育課程の理論と構造―教育課程の経営と評価」安彦忠彦著(学習研究社)