研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -013/063page

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営しているといえるのである。従って,本研究は,このような考え方に基づき,教育現場における教育課程経営の実際を追究していこうとするものである。

(2)教育課程経営の意義と機能
 教育課程経営の意義や機能について,前項の諸説で述べた内容をもって,明確に理論づけることは難しいと予測される。しかし,今後の研究を進展させるための基本となる部分である以上,現状における理論的な周辺をさぐることが必要であろう。即ち,ここで,学校経営現代化の視点から見直した教育課程経営の基本的な考え方を適切におさえていく過程が必要である。本研究が,今後,発展,深化するに伴って,さらに修正されることを前提として,現段階における理論を述べることにする。
1 教育課程経営の意義
 教育課程とは,学校教育のための総合的な教育計画であるといわれるように,端的には,「教育課程=教育課程の編成=教育計画」であり,教育課程の編成,即教育計画そのものが教育課程であるというとらえ方もできよう。
しかし,このようなとらえ方で推論すると教育課程は編成された教育計画そのものであって,編成された計画に従って展開される日々の授業や教育活動は含まれない狭い範囲に限定されるおそれがある。これまでに,いろいろ指摘した教育課程経営をめぐる問題点,つまり,教育課程の部分的・断片的把握や,マネージメント・サイクルにおける断絶という問題も,基をさぐれば,このような教育課程そのものの狭いとらえ方に根ざすものである。いかにすぐれた教育計画であっても,その計画が実践に移され,その実践がどの程度効果をあげたかが評価され,次年度の計画改善に反映されない限り,学校教育の効果を期待することは難しく,計画は実効の伴わないものになってしまう。
 従って,学校教育の効果を高める教育課程の展開を期待するためには,教育課程を単なる編成=計画としておさえるだけでなく,編成・計画―案施・日々の授業―評価・反省―改善・次年度計画へと連続性のある経営過程にそっておさえ,経営的発想で教育課程をとらえ直そうとする考えが必要である。
 即ち,教育的機能の促進と動態的な経営観を重視する学校経営現代化の視点から,教育活動としての教育目標,教育課程,日々の授業を,計画―案施―評価の経営過程に即してとらえ直し,学校教育の中核として教育課程経営を位置づけて考えようとするところに教育課程経営の意義がある。
2 教育課程経営の機能
 教育目標,教育課程,日々の授業を計画―実施―評価の経営過程に即してとらえ直すことは,教育目標の実現をめざして展開される教育活動そのものを経営過程にそってとらえ直すことである。
 教育課程を単なる教育目標実現のための計画としてのみとらず,それが効果的に展開されるよう,日々の授業や教育活動がコントロールされ,その実効が発揮されるところに,教育課程経営のはたらきがある。換言すれば,育課程の経営は,常に教育目標を志向しながら,その具現化をめざして調整され,有機的な機能を発揮しうるような営みそのものということができよう。
 上記のことに着目し,教育課程経営の実際に焦点を当てて,その機能を考えてみよう。原  実氏は,前にも述べたように,教育課程の中核としての授業には,不可欠なさまざまな条件・機能がはたらき,かかわりあって成立しているとしながら,教育課程経営の機能について,次のようにふれている。
 「授業の効果や学習の成立には,図1に示
図1
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