研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -014/063page

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すように多くの要素がかかわりあっている。このかかわりは,日々繰り返される授業の一断面に過ぎず,→や←の矢印は,時にはプラスにはたらいたり,マイナスの作用をしている。………(中略)……一時間の授業でも,このように周辺の運営や組織機能の具体的かつ重要なはたらきの隘路,阻害点が考えられるとするならば,教育課程編成に力点を注いでつくられた指導計画でもその実効は期待できない。この図1にみられるかかわりを診断し改善を求めるためには,図2のように,□印は組織部門,点線の丸印は対人間関係,丸印の中に斜線は運営条件に関するもの,丸印の中にαは目に見えない働きというように,整理分類して,その対策を講ずることが大切である。この営みこそ,教育課程の経営のはたらきということができる。」(註1)
図2
図2
 このように,教育課程経営とは,学校経営のいろいろな要素や機能との相互関連を保ちながら,教育目標から授業にいたる教育活動がマネージメント・サイクルの流れに乗って計画的,組織的に展開されると同時に,常にコントロールされて,教育的機能を発揮させることとまとめることができよう。即ち,教育活動と経営活動との有機的な関連により,教育課程をダイナミックなP−D−Sとしてとらえ,学校教育の効果を高めるはたらきということができよう。

(3)動態で見直す教育課程の経営
 これまでは主として学校経営現代化の一つの視点である教育的機能面からの見直しにより,教育課程経営の意義や機能について論述してきたが,ここでは,もう一つの視点である動態的経営観から,教育課程経営を見直してみることにしたい。
 牧 昌見氏は,「学校経営の今日的課題は,その部分(領域)の個別的改善でなく,経営体としての学校のトータルな把握を試みることである。計画―案践―評価のマネージメントサイクルを一貫した連続性をもったプロセスとして,次期のプランにフィードバックすることが必要である。このサイクルのパイプがどこでつまるのか,なぜつまるのか,どうすればスムーズに学校を運営することができるのかを考えることが必要である。…‥…(中略)‥‥教育目標の具体化について考えてみても,たとえ目標が具体化されたとしても,これを実践にうつす人的組織や,仕事(役割)の分担,運営のしかたが,そして評価の内容や方法が旧態依然のまま手を加えられないとすれば,目標具体化の努力は無意味なものとなってしまう。だから,目標―実践―評価が連続性をもって,ダイナミックに展開できるよう検討することが重要となってくる。(註2)と述べ,経営活動の動態的な把握を強調している。
 また,原  実氏も,学校経営の現実を直視し,運営を動態で把握しなければならないことを主張しており,「運営とは,方針によりどころをもつ目標達成志向の組織計画の実施活動であり,それは時間の流れで絶えずゆれ動く組織行動の過程(プロセス)であり,日常繰り返し行われる組織・行動のプロセスに着目すれば,運営とは,時間軸に沿った動態でとらえられなければならない。(註3)と述べ,学校の動態的経営の実質的要素として,次の五つをあげている。
○ 学校経営を時間の流れにつれて連続的に変化する時間軸の運行として見るということは,単なる経営過程のPDSとしてのみとらえるのではなく,PとD,DとS,SとP′の各過程相互間に,具体的な関連が図られているかどうかにある。
○ マスタープランとしての学校の経営計画がその実質的な効果を発揮させるためには,教師一人一人の具体的な教育行為を促す教科指導計画や学級経営計画をどの行動計画にまで

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