研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -015/063page
つをがっているかどうかにある。
○、学校経営がその本来の目的である教育効果を高めるはたらきを発揮させるためには,目標系列の要素と条件系列の要素が相互関連し,機能的にかみ合って,常に調整・連合しているかどうかにある。
○ 学校経営上には多くの偶然的事象や不測の事象が入り込み,必ずしも年度頭初の組織・計画どおり運営できないことがある。そんなとき,経営方針のルールに照らして弾力的に対処できるかどうかが大切である。即ち,時間軸の変化に対応できる弾力性のある基本計画であるかどうかにある。(条件適応の理論)
○ 学校経営が教育目標の実現をめざすはたらきであるとするならば,特に重視する過程は,S→P’の間である。Sの結果がP'にどのようにはねかえり,フィードバックのはたらきかけが生かされたどうかにある。
このような動態的な経営観については,すでに「研究の視点」において述べたように,紀要第36号,第42号でも取り上げている学校経営現代化の重要な視点であるが,これらの動態的な考え方をもとに,教育課程経営を見直したとき,次の二つの観点からおさえておくことが大切であると考えられる。
その一つは,これまでも論述してきたように,教育課程を編成・計画のみの部分的,断片的なとらえ方でのみ考えず,経営過程の計画,実施,評価と同じように,PDSの過程としてとらえ直して考えることである。即ち,教育課程の編成―教育課程の実施―致育課程の評価を連続する教育活動の過程として,全体的,総合的にとらえ,学校教育の中核として位置づけて考え,編成―実施だけでなくその効果までも含めて考えることである。特に,P−D−Sの各過程と,P−D,D−S,S−P’の間を具体的にどうするかを教育課程の展開に即して考えることであろう。
具体的には,教育目標の具現化をめざす重点目標,努力目標,経営方針の設定などの教育計画が,具体的な年間指導計画,教科経営計画,学級経営計画などの行動計画にまで連動するようにおろされることである。そして,それらの計画に基づきながら,日々の授業や教育活動のための週案,日案,授業案がどう立案され,授業の実際と結びつくかであり,ダイナミックスに展開される教育活動の成果をその都度評価し,次の授業実践に生かすかである・。さらに,日常の反省評価が,期末・年度末の評価活動に累積され,教育課程実施の成果や結果として評価され,次年度計画の改善に生かされることである。このように,教育課程のPDSが,連続した教育活動として相互関連的にとらえられることにある。
もう一つは,時間の流れにそって連続して展開される教育活動としての教育課程のPDSが常に教育目標や経営方針・教育方針・編成方針等にコントロールされるという考え方でとらえ直すことである。即ち,編成された教育課程の計画も,日々実践される授業も,常に教育目標や教育方針等に照らし合わせて対応し,対処することである。即ち,結果志向の考え方を重視することであり,教育課程のPDSを因果関係でとらえなおすことである。特にS−P’の過程を重視し,1年間実践された教育活動の結果を教育目標や教育方針等に照らし,何が成果で,何が次年度の課題なのかを明らかにすることであると同時に,次年度の計画改善へ具体的に組み入れることである。
具体的には,日々の授業の反省を累積するだけにとどまらず,総合的,客観的な評価に基づく資料により,教育目標の何が実現されたのか何が実現不可能だったのかを明らかにして,次年度の重点目標や努力目標設定のための方向性を示すことであり,経営方針の何が問題だったのかを明らかにして,組織・運営改善のための共通理解を図ることである。このように,教育課程のPDSを教育目標や経営方針との結果志向でとらえることにあるが,この場合留意した