研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -022/063page

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2 調査の結果と考察

 全調査内容の集計結果は,資料編に掲載するが,ここでは,教育課程の編成・実施・評価の3過程における理論を実証する設問を選び出し,検証のための考察を加えることにする。

(1)教育課程の編成
 前章において,教育課程の経営的発想に基づく見直しの観点として,編成過程においては,「全員参加による組織的編成」と,「編成活動の計画的推進」を取りあげた。今,この二つの観点から,編成された教育課程をいかに実施―評価過程に結びつけるかという,現実の問題を考えるとき,次の具体的な3点に焦点をあてて,吟味し,考察を加えることが妥当であると思われる。
○ 教育課程編成に対する教師個々の意識に問題はないだろうか。
○ 教育課程編成のために確立された組織と,その機能的活動はどうだろうか。
○ 教育課程編成作業は計画に位置づけられ,効率的に推進されているだろうか。
 これらの三つの視点から実態を把握し,分析していくなかで,組織的・計画的推進を阻む要因が明らかにされていくものと思われる。

1 教育課程編成に対する教師の意識
 このことについては,次の二つの調査及び集計結果から考察し,問題点を明らかにしていきたい。
 ア 組織態勢の阻害要因・・・・・問(1)
 イ 学習指導要領の事前研究・・・問(2)

問(1)教育課程編成に当たって,全職員あげての組織態勢を阻むと思われる要因を次から二つ選び,順位1・2を記入する。
 ア( ) 教師一人一人の教育課程そのものに対する意識が低い。
 イ( ) 教育課程は全職員参加のもとに編成するという意識が低い。
 ウ( ) 年間指導計画の作成に当たり,広地域カリキュラムに依存する傾向が強い。
 エ( ) 年間指導計画の作成に当たり,教師用指導書にたよりすぎる傾向が強い。
 オ( ) 編成のための日程が学校運営上余裕をもってとることができない。
 カ( ) 教育課程の評価が行われないため,毎年同じようを編成過程になりがちである。
 キ( ) 教育課程はだれかがつくってくれるものという考え方が根強い。
 ク( ) その他(           )
<集計>

6

11

37

9

28

5

4

0

N=56  100%

問(2)教育課程編成に当たって,学習指導要領の事前研究について一つ選ぶ。
 ア( ) 現職教育計画に位置づけ組織的に行った。
 イ( ) 編成の計画に位置づけて計画的に行った。
 ウ( ) 学年部会,教科部会等に自主的に行わせた。
 エ( ) 学級担任に十分研究するよう指示した。
 オ( ) 特に意図的には取りあげなかった。
 カ( ) その他(           )
<集計>

13

24

29

25

9

0

N=56  100%

<考察>
 問(1)の調査結果から,教育課程そのものや,編成に対する教師自身の意識の低さ(ア・イ・キ)を阻害要因としてあげている学校は,全体の2割弱であり,教師一人一人の教育課程に対する理解は深まっているとみてよいであろう。しかし,その意識や理解が,積極的な編成活動への参加,ひいては学校としての組織的編成活動に結びつかないのではないかということも,

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