研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -023/063page
この調査から推察される。それは教師一人一人の編成の実質作業ともいうべき指導計画の作成となると,広地域カリキュラム依存の傾向から脱却し得ず,4割近くの学校がほとんど第1位に問題としていることからも判断される。編成に対する意識と実践のずれともいえるのでないだろうか。さらに関連調査問(2)により追究してみよう。教育課程の編成に当たっては,学習指導要領の趣旨や内容について教師全員が理解を深め,学校の実態や諸条件を把握し,共通理解のもとに作業を進める必要がある。その原点ともいうべき学習指導要領の事前研究の実態をさぐってみた。
調査の結果,現職教育計画や教育課程編成計画に位置づけて組織的・計画的に事前研究に当たったという回答(ア・イ)が4割を占めるが,新教育課程実施1年の成果を評価し,改善を加えるとする観点にたつならば,もっと多くの数が望まれる。学年会・教科部会等の自主的研究の3割の回答は,その自主的研究の質が問われなければならないし,特に教師一人一人にまかせっきりの研究(エ・オ)の回答が3割強を占めていることは,前述の広地域カリキュラムからぬけきらない指導計画の作成へとつながっているように考えられる。学習指導要領で示されている基本方針はじめ,その内容の研究が十分行われるような各学校の体制づくりが,教師一人一人の編成意識を高めていくことになるものであろう。
<要点1> 教育課程編成に対して,教育目標の達成を指向しようとする教育現場の意識は,まだ十分とはいえず,教師個々の認識や理解を得るまでに至っていない。
○ 学校の教育課程は,それぞれの学校の教育目標をめざして編成されるものであり,各教科・各領域の指導目標や内容に十分反映させることが大切である。
○ 広地域カリキュラムにのみ依存することなく,教師一人一人が教育目標達成をめざして,創意ある教育計画を作成しようとする意識を高めることが大切である。
○ そのためには,教師一人一人の意識を具体的な活動と結びつける中で,より高め,それが学校全体の編成活動を質的に向上させていくような手だてを講じる工夫が必要である。
2 教育課程編成の組織体制の確立と機能的活動
このことについては,次の三つの調査及び集計結果から考察し,問題点を明らかにしていきたい。
ア 教育課程編成のための組織体制―問(1)
イ 上記設問で組織的計画的に進めた場合の組織の実態―問(2)
ウ 編成に当たっての全職員の任務―問(3)
問(l)教育課程編成のための組織体制について次の各問に答えて下さい。
本年度の教育課程編成の組織体制をふりかえってみて一つ選ぶ。
ア( ) 学校あげて組織的・計画的に当たった。
イ( ) 大体組織的に進められた。
ウ( ) 組織的な配慮はしたが,思うように進められなかった。
エ( ) 全職員参加という点からみて反省すべき点が多い。
オ( ) 特定の職員による編成に終わった。
カ( ) その他( )
<集計>
N=56 100%
ア イ ウ エ オ カ 25
50
14
9
2
0
問(2)上の設問でア及びイの回答の場合のみ,次のどちらかを選び記入する。
ア 教育課程編成のための特別の専門委員会を組織した。
名 称「 」
構成メンバー
イ 既存の校務分掌の組織及び委員会(会議)