研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -031/063page
次にこのことと関連して,問(6)で授業中の充実感について追究してみると,できないことができるようになったとき,むずかしい問題がとけたとき,実験や実習などをとおして学習したときであり,児童が主体的に学習に取り組んでいる姿そのものが選択されている。逆に成就感を感じない場合はいずれも教師の指導方法や技術に視点をあてたものである。
〈要点3〉 新教育課程の趣旨を生かそうとする計画や意識と授業の実際とはずれが見られ,教師の創意工夫による授業の質的な改善とまでは至っていない。
○ 主体的な児童の育成を図るためには,単なる観念やかけ声だけでなく,日々の授業の実践場面における具体的な創意工夫が大切である。
○ 個々の教師の創意工夫に待つばかりでなく,学校運営の中で組織的に行われるような取り組み方が大切である。
○ 授業の質的改善を図るためには,教師の例の視点からのみ考えず,常に児童の側に立った見直しが大切である。
(3)教育課程の評価
教育課程経営を経営的発想から見直した場合,組織化,計画化,調整化の三つの観点から見直すことが大切であることは,前述したとおりであるが,さらに,教育課程経営における評価過程について,この三つの観点から見直した場合,次の3点にスポットをあてて,教育現場での具体的を評価活動を吟味し,考察することが必要であるように思われる。
○ 教育課程評価に対する教育現場の意識に問題はないだろうか。
○ 教育課程評価のための組織や,その機能的活動の実際はどうであろうか。
○ 教育課程の評価活動が計画に位置づけられ,評価機能を生かして推進されているだろうか。
これらの三つの視点から教育現場の評価活動の実態を把握し,検討,吟味していく中で,教育課程経営における評価過程の問題点を明らかにしていきたい。
1 教育課程評価に対する教育現場の意識
このことについては,次の二つの調査及び集計結果から考察し,問題点を明らかにしていきたい。
ア 教育課程評価の実施状況―問(1)
イ 教育課程評価の必要性―問(2)
問(1)教育課程の評価の実施について一つ選ぶ。
ア( ) 実施している。
イ( ) どちらともいえない。
ウ( ) 実施していない。
<集計>
N=56 100%
ア
イ
ウ
64
31
5
問(2)「ア」,「イ」と回答した場合は次の問いに回答して下さい。
「教育課程の評価はなぜ必要なのですか」
二つ選ぶ。
ア( ) 学習指導方法を改善するため
イ( ) 地域・学校・児童の実態に応じて改善するため
ウ( ) 次年度教育課程編成のための資料を得るため
エ( ) 教育課程の実施状況を評価するため
オ( ) 児童の変容を測定するため
カ( ) その他( )
<集計>
N=106 200%
ア
イ
ウ
エ
オ
カ
36
36
71
49
8
0
<考察>
二つの調査結果から,教育現場の意識を推察するかぎり,まず,問(1)のアが約2/3,イとウが約1/3という事実に注目したい。教育課程の評価は,次年度編成のための改善資料を得るための重要な活動である以上,毎年,何らかの形で実施すべきはずであるが,約1/3が「どちらともいえない」「実施していない」と回答している実態に問題があり,評価過程に対する意識の希薄さが指摘されよう。また,問(2)の場合,どれも