研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -033/063page
<考察>
三つの調査結果から,教育課程評価の組織とその機能的活動の教育現場での問題点を推察すると,まず問(4)のアに約2/3の回答が集中していることに注目したい。確かに,職員会議や研究協議会などの全体会において,全員参加で行うことは極めて大切なことに違いはないが,いつでも,この全体会だけで行うことは理想の姿ではあるが,現実に即した方法とはいえないと考えられる。編成の段階においては少なくとも,特別の委員会を組織している各学校が,評価の段階では特別な委員会をほとんど組織していないことは,計画―実施―評価への一貫性がないことと同時に,経営的な考え方が評価まで連動していないことの表われである。また,教育課程評価が,改善のための資料収集にあるとすれば,いつでも全体会である必要はなく,下部組織としての学年会や教科部会,調整組織としての企画委員会や学年主任会などが互いに関連し合い,最終的には,全体会で協議することが重要になってくる。組織をつくり,組織を生かし,有機的に作用しあってこそ,評価組織の機能が発揮されることになるはずである。この点から考察しても問(1)のア66%,問(2)のオの話し合いに96%が集中していることに問題があろう。理想的に考えれば問(1)はカのいくつかの組み合わせであり,問(2)のカのその他でオと他の組み合わせであることが望ましい姿といえよう。さらに教育現場での評価における問題点や悩みは,問(3)にもあらわれており,組織,方法だけでなく,共通理解,計画,研究不足等,すべてに回答が分散されていることからも推察できるであろう。
〈要点2〉 教育課程評価のための組織の確立は,まだ十分といえず,学校全体の組織を生かした機能的活動にまで至っていない。
○ 教育課程のための特別な組織は,編成の段階で断絶せず,実施―評価の段階まで連動する経営過程の考え方で確立する必要がある。
○ 全員参加の全体会だけの組織に片寄らず,教育課程改善の資料が多面的,客観的に収集できるよう,学校全体の組織を関連・調整し,評価活動の機能を十分発揮させる工夫が大切である。
○ 教育課程評価における問題点を,組織の面からのみ追究することなく,意識 計画,方法等と関連づけ,巨視的に見直し,解決にせまることが急務である。
3 教育課程評価のための計画と評価機能 このことについては,次の三つの調査及び集計結果から考察し,問題点を集約していきたい。
ア 教育課程評価の手順―問(1)
イ 教育課程評価の時期―問(2)
ウ 教育課程評価の改善策―問(3)
問(l)「教育課程の評価はどのようを手順で行いますか。」一つ選ぶ。
ア( ) 評価計画を立案して行う。
イ( ) 評価委員会等の指示に従って行う。
ウ( ) 校長,教頭,教務等の指示に従って行う。
エ( ) 特に計画はないが,そのつど必要に応じて行う。
オ( ) その他( )
<集計>
N=53 100%
ア
イ
ウ
エ
オ
36
2
28
22
2
問(2)「教育課程の評価はいつ(時期)行いますか」
二つ選ぶ。
ア( ) 年間を通して随時
イ( ) 学年末
ウ( ) 学期末
エ( ) 特に決めていないが,必要ある時
オ( ) 評価計画に従って計画的に
カ( ) 学期毎と学年末
キ( ) その他( )
<集計>
N=106 200%
ア
イ
ウ
エ
オ
カ
キ 27
36
55
11
11
60
0