研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -034/063page
問(3)「今後,どのようにしたいと考えていますか。」・印を付して簡単に記入する。
<集約>
・教育課程評価の項目,観点基準に関すること ・・・・・27
・教育課程評価の意義・必要性の共通理解に関すること ・・・・・17
・教育課程評価の実際における方法等に関すること ・・・・・21
・教育課程評価を計画的(評価計画を含む)に実施すること ・・・・・13
・教育課程評価を組織的(組織化を含む)に実施すること ・・・・・13
・教育課程評価の研究,資料,試案に関すること ・・・・・7
・その他(結果の活用等)・・・・・5
<考察>
三つの調査結果から,教育課程評価のための計画と評価機能の教育現場での問題点を推察すると,まず,問(1)アが約1/3の36%,ウが28%,エが22%の実態に注目したい。評価機能を生かし,改善の資料を得るための評価活動であれば,当然評価計画が必要なはずであるが,現状では約1/3にすぎず,約2/3は校長,教頭,教務の指示に従ったり,特に計画を用意せず行う等で実施しており,計画化の不十分さが指摘される。これは,各学校において教育課程評価の意義や機能を重視していない結果を物語っており,編成段階と実施―評価の段階にへだたりが生じてきていることになる。このことは,問(2)のオの11%にも表れている。経営過程にもとづくP・D・Sの一貫性を重視するならば,評価段階の重視とともに,その評価機能を生かすための評価計画に従った計画的な評価活動が行われることが理想の姿といえよう。しかし,この事実は単に計画化だけの問題ではなく,問(3)の結果にもあらわれているように,教育課程評価すべてにかかわる問題である。即ち,教育課程評価をどのように考え,どのように行えばよいかという,教育現場の悩みや迷いのあらわれであると受けとめることができよう。そこで,問(3)の回答を学校経営評価の基本的な要件にもとづいて構造的におさえ,図式化すると,次の表1のようにまとめることができよう。
<表l>
<問1(3)―(2)―B>教育課程評価実施上の問題点に対する解決策.
※学校経営評価に関する研究(調査票P3−2(10)、考査票P19)
この表をもとに教育課程評価のための計画と評価機能について教育現場の問題点をまとめると要点3のようになるであろう。
〈要点3〉 教育課程評価のための計画の位置づけは,まだ十分といえず,評価機能を生かした組織的・計画的な評価活動にまで至っていない。
○ 教育課程評価のための計画は,年度当初の学校計画または,教育課程経営のための計画に位置づけ,計画的,継続的に行うことが大切である。
○ 評価計画は,具体的な手順・時期・方法・組織まで含めてこそ,はじめて,評価機能を発揮させることが可能である。