研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -036/063page

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いわれる。これは,教育課程の編成に当たって,学校全体の編成組織をどのように確立し,すべての教師がその組織にどのように乗って,編成活動に主体的に参画するかが問われない限り,教育課程そのものの内容の質的充実を図ったとしても,教育課程経営をめぐる基本的な課題であるマネージメント・サイクルの問題は解決されないということを含んだ指摘と考えられる。PDSのサイクルを欠くといわれることについて,この編成過程を上の三つの視点から見直してみる意義もここにある。
(2)実施過程
要点 1.年間指導計画作成・改善の推進 2.日々の教育活動の評価と改善
3.新教育課程と授業の質的改善
問     題     点 ○ 計画―実施―評価のそれぞれの過程において,目標達成をめざす機能的な組織の確立
○ 実施過程にまで生きる見通しのある具体的な年間計画の策定
○ 計画作成に対する教師個々の自覚と,管理職者のリーダシップの発揮
○ 教育課程の実施状況を検討する場としての機能を発揮する学年会のあり方
○ 日々の授業実践の中で反省・評価・改善が図られるような評価機能の重視
○ 日々の授業の充実や,改善に結びつくための週案の活用と記録の工夫
○ 日々の授業実践の中における,授業の質的改善を図るための教師の創意工夫
○ 教師個々の共通理解と,学校運営の中での組織的な活動の推進
○ 児童の考え方,感じ方を基本とし,主体を児童においた授業の改善
改   善   へ   の   視   点 視 点  具体的な作業や実践に結びつく,組織的・計画的活動  改善に結びつく週案の検討と学年会の調整的機能  日々の授業実践をとおしての授業の質的改善の推進
対                策 ○ 教育課程編成段階における計画や組織が実施段階における具体的な作業や実践まで結びつくように,個々の教師及び各組織の役割分担を明らかにするとともに,見通しのある計画のもとに組織的な作業を推進する。
○ 実施の過程でも,個々の教師及び各組織においても常に当初の計画に対する反省・評価を加えながら,作成・改善のための作業を意図的,計画的に推進する。
○ 学年会が単なる伝達とか,事務的連絡のような形式的内容だけでなく,教育課程の実施段階における研究的・協議的会合としての調整的な機能を発揮するよう運営の改善を図る。
○ 週案が,教育課程に基づいた年間指導計画の完全な実施には欠くことのできないものとする共通理解と,授業の充実や改善を図る上から,授業に実際活用される形式・内容等について検討を加える。
○ 教師個々の創意工夫も大切であるが,授業の質的改善のための課題を学年・学校組織の中でもち,共同研究を推進し,個々の教師に還元する工夫を試みる。
○ 教師側からの視点でとらえた創意工夫の発想だけなく,授業の実践場面における児童の反応を絶えずとらえ,編成段階での計画に立ち返ってみる評価活動を計画的・組織的に推進する。

 教育課程の実施は編成された教育計画に対して,教職員一人一人が勝手ばらばらな実施ではなく,組織的運営の中における実施でなければならない。即ち,教育課程の計画がすべての教師によって,1時間1時間の授業,あるいは個々の教育活動の展開に生きるよう努められ,そして学校としてのそのための具体的な策が施された時,教育課程はマネージメント・サイクルに乗って動くことになろう。このような時に,計画―実施の過程間における断絶はなくなるであろう。次に,実施過程における実践の指導活動の一つ一つが個々の教師,さらには各組織において丹念な評価活動が行われ

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