研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -037/063page
ることが望まれる。PDSのサイクルを欠くといわれることについて,この実施過程を上の三つの視点から見直してみる意義もここにある。
(3)評価過程
要点 1.評価の重要性の意識の低さ 2.評価組織の整備と機能的活動 3.評価計画の樹立と計画的推進 問 題 点 ○ 教育課程評価の意義・ねらいの理解と,教育課程改善に対する認識
○ 経営過程に即した教育課程評価の機能の把握○ 教育課程の各過程に連動する組織の確立
○ 改善資料の多面的・客観的収集につながる評価組織の創意工夫(評価活動の機能発揮のための組織の工夫)
○ 意識・計画・方法等と関連づけた組織の巨視的な見直し○ 教育課程評価計画の学校経営総合計画,教育課程経営計画への位置づけ
○ 評価機能発揮のための評価計画の内容充実
○ 総合的・客観的な教育課程評価票の創出改 善 へ の 視 点 視 点 教育課程の評価と改善についての全職員の共通理解 評価のための全職員・各種会議の明確な位置づけと活動 実践的な評価計画の樹立と評価票の開発 対 策 ○ 評価のねらいをはじめ,学校の実態に応じてたてられた評価計画について,あらかじめ共通理解を図る必要がある。
○ 教育課程改善の必要性について,全教師が認識を深めながら,具体的方策を協力してたてる。
○ 年間をとおした評価と改善の実践活動をすすめるなかで,意識の高揚をさらに図っていく。○ 教育課程一般に関する全体的な組織に加えて,各過程ごとの組織をもあらかじめ考慮するなど実際的な組織づくりを行う。
○ 評価の結果に基づき,直ちに改善作業を進めることができるよう,改善計画も加味した組織を確立する。
○ 評価のための組織及び各種会議について,その役割,分担・関連を明らかにし,その機能を発揮させる。○ 評価計画・改善作業を年度はじめに年間計画に位置づけ,学校運営全体の中で意図的・継続的に行うようにする。
○ 教育課程の基本方針や経営目標等を考慮し,実態に応じて,客観的な資料収集可能な評価票を創出する。
○ 評価結果の集約→分析・検討→改善策→改善作業という一連の活動としての計画と内容の充実を図る。
教育課程評価のねらいは,教育課程の編成,実施をより適切にするための資料を得て,改善すべき方向と改善点を各学校の実情に即して明らかにするところにある。いいかえるならば,教育課程の評価がたとえ行われたとしても,その結果が,改善に生かされなければ,評価本来の意義は発揮されないといえる。意識の低さ,組織的・計画的な評価のあり方,客観的評価のための評価票の問題,評価と改善作業の一貫性など,編成実施の過程に比べ,評価の過程には現実的問題が多い。しかし,教育課程の評価から改善に至るはたらきこそ,教育課程がマネージメント・サイクルに乗って,ダイナミックに動くかどうかのかぎともいえるのである。上述の三つの改善の視点にたち,自校の現状をどう切り開いていくかを考えてみることが大切であると思われる。
調査結果より得られた各過程毎の問題点に対し改善の視点と対策をあげてみた。これらの観点から,実践にどう取り組むかは各学校の実情に即し,異なるところではあるが,第二年次には,代表的な実践事例を紹介し,これらの対策を実証していきたい。