研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -002/038page

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  に起因するものが多い。
 ○ Bタイプ―甘やかされ型
  社会的・情緒的に未成熟で,困難や失敗を避けて,安全な家庭に逃避する。2 精神障害によるもの
 精神分裂症,うつ病,神経症などの発症の結果として。
3 怠学傾向
 ○ 無気力傾向
  学習意欲に乏しく,時折り休む。教師や親にいわれて登校するが、長続きしない。
 ○ 非行傾向
  学校や家庭に適応できず,非行グループに入り,登校しない。
4 積極的・意図的拒否
 学校へ行く意義を認めず,自分の好きな方向を選んで学校を離れる。
5 発達遅滞を伴うもの
6 一過性
 転校,病気,その他客観的に明らかな原因があり,それが解消されるまで登校しない。


(3)登校拒否の一般的経過

1 身体症状を訴える時期
 最初は心気症という状態で学校に行かなくなる場合が多い。即ち,頭痛・腹痛・気持ちが悪い・おう吐・疲労などで,「気分が悪い」,「疲れた」といった漫然とした理由である。この状態は朝起きた時が最もひどく,多くは昼ごろまでには直り,夜には翌日の登校準備までして床に入るが,翌朝になると,登校意欲をなくし,ぐずぐずしていることが多い。
※ 心気症:心身のさ細な変化や不調を気にしてこだわり,くよくよするような状態に陥る。症状は多岐にわたり,全身疲労感,頭痛・おう吐・食欲不振・目まいなどが中心になることが多い。俗にいう「気やみ」である。

2 攻撃的行動をとる時期
 学校に行かない時期が続くにつれて,学習へのおくれ,友人から見放されるという焦燥感や不安が増大してくる。学校へ行く意志はあるが,行くことができない。つまり,意志と行動の不一致による矛盾が強いかっ藤となって表れる。自分自身としてどう対処していけばよいのか,悩んでもんもんとしている時に,登校を強制する親の権威的な態度に,不快感をもって反発・反抗する。このやりきれなさを親がくみとってやれないと,親のちょっとした言葉にもすぐにカッとをり,暴力をふるうような攻撃的な行動をとりやすくなる。

3 無気力的な生活の時期
 親は登校刺激をさしひかえ,無理じいをしないため,一応落ち着いて,外見上安定しているようにみえるが,内面的には,激しい焦燥感・不安などから,近所や学校など,家庭以外の自分の周囲に対して,閉鎖的になるばかりでなく,家庭内でも,同様に孤立的生活をするようになる。
 内閉的(自分の殻に閉じこもってしまう)な症状から,一見,うつ病にみられやすいが,うつ病ではないことを知っておく必要がある。

登校拒否の症状は,このような一般的経過で進行していくのが通例であるが,すべての登校拒否の子供が,一様にこれらの時期に従って,症状が経過するとは限らない。
 登校拒否の発症年齢が低年齢ほど,先にあげた状態で始まり易く,幼稚園や小学校の下学年ではほぼ例外なく身体症状を訴えることで問題化し,小学校の上学年,中学生,高校生の場合は,比較的短期間の身体症状を訴える時期から,攻撃的な時期を経て,無感動で孤立的な生活に陥る内閉的な時期に移行しやすい。
 いずれにしても,登校拒否の症状が慢性化すればするほど,その指導も治療も,時間と困難度を増してくる。
 登校拒否の子供が,いま,自分がどのような立場にいるかを実感としてとらえ,自分はどうすればよいかという方向性を模索して,自己決定しようとする―自己洞察―にいたるまでが,苦悩


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