研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -006/038page
・ バウムテスト(樹木画テスト)
・ 不安傾向診断検査(GAT)
・ パーソナリティと適応テスト(PAI)
・ その他
○ 親の検査
・ 親子関係診断テスト
・ 生育史調査
・ エゴグラムチェックリスト(簡易精神分析)
・ 長欠児童生徒類型分類チェックリスト
・ その他
3 分類結果
次に小・中・高校生別に分類結果を示し,若干の考察を加えてみたい。
ア.小学生
図3 タイプ別分類状況(小学生)
小学生50人のうち,一過性の登校拒否2人(4%)を除いて,残りの48人(96%)の大部分は神経症的登校拒否の相談であり,Aタイプ1人(2%),Bタイプ32人(64%),分離不安15人(30%)となっている。
分離不安は低学年と高学年に多くみられた。低学年の分離不安による登校拒否児のほとんどが,過去に登園拒否を起こしており,小学校入学後に再発したものである。高学年の分離不安は,両親の対立や父親との離別などをきっかけにして子供が母親に依存的になり,精神的に幼児期へ退行したためと考えられる。
甘やかされ型のBタイプは32人で小学生全体の64%を占め,タイプ別では最も多い。高学年の5年(13人)・6年(11人)に集中しており,女子の方が男子より若干多くなっている。Bタイプ児の性格行動の特性として,依存的・耐性の欠如・わがまま・物質的(金銭的)欲求が強いなどがあげられる。このような特性の形成要因として,過保護や甘やかしの親の養育態度があげられる。
イ.中学生
図4 タイプ別分類状況(中学生)中学生80人のうち,65人(82%)は甘やかされ型のBタイプで,男子の数が女子よりも多い。優等生の息切れ型のAタイプは9人(11%)で約1割しかおらず,Bタイプと反対に女子の数が多い。怠学傾向(無気力傾向)が4人・(5%),分覿不安1人(1%),発達遅滞1名(1%)とタイプの数も小学生と比較して増えている。登校拒否の内容も年齢的に思春期や青年前期にあたり複雉である。
ウ.高校生
発達遅滞1人(1%)は,1年女子の相談であった。WISC知能検査でIQ66と低く,授業の内容を理解するのが困難であり,学校生活では友人から孤立し登校する意欲をなくしてしまった生徒である。当相談部では発達遅滞を伴う登校拒否と判断し,子供の発達段階にあった学習指導及び生活指導をするよう援助指導を依頼したケースである。
高校生65人のうち,タイプ別で割合が大きい方からあげていくと,Aタイブが25人(38%),Bタイプ21人(32%),怠学傾向が13人(20%)で,そのうち無気力傾向が8人(12%),非行傾向5人(8%)である。さらに,