研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -007/038page
図5 タイプ別分類状況(高校生)
一過性が4人(6%),積極的意図的登校拒否1人(2%),精神障害によるもの1人(2%)になっている。
Aタイプ・Bタイプの神経症的登校拒否は1学年に最も多く,次に2学年に多い。登校拒否の引き金として友人関係のトラブルをあげるものが多く,これは高校に入学してまもない1学年やクラス編成替えをむかえた2学年で,それまでの社会性の未熟さが表出し,不適応を起こし登校拒否につながったものと考えられる。
Aタイプでは男子と女子の割合はほぼ等しい。Bタイプでは男子の割合が女子に比べて大きい。
怠学傾向(無気力傾向・非行傾向)は2学年に集中しており,特に非行傾向は男子の来所だけである。怠学傾向の背景として,本人の性格・親子間の人間関係のまずさ,学校の援助指導の不適切さなどが複雑に絡みあっている。
一過性の登校拒否の中には,失恋の痛手によって一時的に登校できなかったものもある。思春期における高校生らしい一過性の登校拒否と考えられる。○ 学科別来談状況
4.登校拒否の出現率
図6は,昭和53年度から昭和56年度(4月〜7月)までに来所した高校生65人について学科別に表したものである。この図から明らかなように,普通科に在籍するものは44人(67%)で7割近くを占めている。また,普通科の男女の割合は同じである。普通科についで職業学科の工業科が13人(20%),農業科5人(8%)となっており,農業科より工業科の相談の割合が大きい。
まとめてみると,学年が進行するにつれてタイプも多様化してきているということができよう。
図6 高校生の来談状況(学科別)(昭和53年度〜昭和56年4月〜7月)
(1)実態調査の実施要領
昭和55年度における県北管内小中学校の登校拒否及びその傾向にある児童生徒の実態を把握し,県全体における登校拒否の出現率推定の資料を得るために下記要領により実態調査を実施した。
1 実施月日
昭和56年5月31日
2 対象
・ 昭和55年4月1日より昭和56年3月31日までに在籍した者。
3 調査票記入要領
・小・中学校は,特A,A,B,Cの地域区分を記入する。高等学校は,全日制のみとし,普,農,工,商,家の大学科名を学校のあとの( )に記入する。
・ 在籍児童生徒数は昭和55年5月1日現在のものとし,特殊学級の児童生徒数は在籍