研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -009/038page
に出現率を求めたのが下表である。
表4 学校種別出現率
小学校 中学校 高 校 計
A 登校拒否 人 数 26
28
20
74
出現率 0.056
0.142
0.148
0.093
B 登校拒否傾向 人 数 6
19
1
26
出現率 0.013
0.096
0.007
0.033
C A+B 人 数 32
47
21
100
出現率 0.069
0.238
0.156
0.126
本調査では,登校拒否と登校拒否傾向の区別を,医者や教育センター,児童相談所,精神衛生センター等の診断を受けたかどうかで行ったが,ここでは,両者を合わせて登校拒否とし,出現率を算定した。以下の文中の出現率は,同じである。
小・中・高校を合わせた全体の出現率は,0.126%であった。
学校種別に出現率の高いものから,中学校0.238%,高校0.156%,小学校0.069%となっている。なお,わかりやすくするために,出現率の各学校間の比率を求め,下図に示した。
図7 出現率から見た学校種別の比率
ちなみに,文部省で行っている学校基本調査報告をもとに,昭和53年度の全国の長欠児童生徒中「学校嫌い」者の出現率を求めてみると,公立小学校0.03%,公立中学校0.22%であった。本調査の結果と比べると,小学校においては本調査結果のほうが2倍強の出現率を示している。
また,福島県教育委員会で発行している学校統計要覧をもとに,昭和55年度における福島県内の長欠児童生徒中「学校嫌い」者の出現率を求めると,小学校0.02%,中学校0.18%となっている。本調査の結果とくらべてみると,小・中学校ともに,本調査のほうが高率を示し,特に小学校は3倍強となっている。
このことは,両調査の調査要領の違い等があるので,単純に比較することはできない。 しかし,小泉英二氏が指摘しているように,年ごとに出現率が高くなっていること,低年齢化の傾向にあることを示唆しているものと思われる。2 男女別出現率
登校拒否及び登校拒否傾向の出現率を学校種別ごとに男女別に求め,わかりやすくグラフ化したのが下図である。
図8 男女別出現率
小・中・高校を合わせた全体の出現率を男女別に求めると男0.138%,女0.108%で男の出現率が高い。
学校種別ごとにみると,男が女の出現率を上まわっているのは小学校・高校で,女が男を上まわっているのは中学校である。
男女の出現率の差の最も著しいのは高校で,男が2倍強を示し,中学校ではほとんど差はない。3 地域別出現率
県北教育事務所管内の小・中学校を教育行政区分に従い特A,A,B,C地区にわけて出現率を求めた。特Aは都市の中心部,Aは都市の周辺部,Bは農村部,Cは山間部となっている。