研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -013/038page

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・意欲欠如
・不適応傾向
・規範逸脱傾向など
 注 A・Bとも被験者は当該生徒
    A・Bとも中学生から高校生まで
 ※ 5の検査は,1,2で怠学的登校拒否としてとらえられた児童生徒で4に問題が認められた生徒。または1,2で問題が認められた生徒を対象に適宜選択する。

 以上これらのすべての検査を実施しなければならないということではない。検査者が被検査者のどの側面をとらえるかによって決定することであり,そのためにも親や本人への面接は検査を選択する上でより重視されなくてはならないことである。

(4)神経症的徴候をもつ登校拒否児に対するテスト・バッテリーの組み万 ―事例を通して―

○  対  象
   中学1年生女子 W子12歳
 1 初回面接時におけるきき出しのポイント

ポイント き き 出 し た 内 容
ア、養育過程でみられる身体異常
・幼児期から小学校時代にかけて,小児ぜん息,夜尿がみられた。
・幼稚園時代担任から自閉症ではないかといわれたことがある。
・過敏体質,親の養育態度から心理的な緊張感が疑われる。
・性格的にも消極的で内向型,自分の意志が出せない。
 
イ、欠席理由と休み方
・断・連続的に休み,鼻血や下腹部痛を訴え,そのつど母親が学校へ連絡する。
・開業医の診断では自律神経失調症ではないかといわれた。
 
ウ、登校刺激や教師・友人の訪問に対する反応
・親や他の人たちからの登校刺激に対してパニック状態がみられる。
・次第に暴言,暴力をふるうようになり心理的な緊張感が増幅されつつある。
・本人の不安の対象や,不安によって生ずる行動に異常傾向がみられる。
・教師や,友人の訪問があると,かくれて会おうとしない。
・家庭訪問があった後,非常に機嫌が悪くなり,だれかれなくあたりちらすことが多い。
 
エ、休んだ時の状態や生活状況
・生活のリズムが若干乱れている。日中はテレビ視聴やレコードをきいている。
・友人や教師からの電話がこないかと不安で,そのために心身の疲れを訴える。
・家族からの刺激が加わることに対し,「死にたい」「入院して静かな時を過ごしたい」と訴えている。
 
オ、考えられる原因
・級友に悪口や,告げ口をいわれそれがひどく気になる。
・授業がうるさくておもしろくない。
・技能教科における自分の能力に強い劣等感をもっている。(親・本人の訴え)


 これらのきき出した結果をもとに,次に示すテスト・バッテリーを組んでみた。

<本人> 性格特性の問題
・Y−G性格検査
情緒的側面の問題
・カラーテスト
・バウムテスト
不安感情の対象や行動上の問題
・不安傾向診断テスト(GAT)
精神健康度にみられる問題
 ・不安診断検査(CAS)
             
             
<両親> 親の自我状態
・エゴグラム(簡易精神分析検査)
親の養育態度にみられる問題        

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