研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -016/038page

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<両親に対する治療>

不登校→親との連絡→子供を「家からおし出すよう」指示
      ↓
    親との面接
      ↓
    タイプの確認→ア,イ,ウ(上記要因)
      ↓       ↓
   親に対する治療  子供に対する治療

 上記要因のア,イ,ウについて治療(指導)上留意すべき点については,

○ アの場合
 子供だけでなく,母親も子供を手ばをすことを,無意識のうちに不安がっていて,いわゆる,音叉の共鳴のように,母子共に,相手を引きつけて離さない母子関係(多くは,それを特別と感じていない)が形成されている。その背景には,子供への期待過剰,先まわりして,あれこれ世話をやく過保護な態度,夫への不満を,子供に世話をやくことでまぎらわしていた夫婦のあり方などを母親だけでなく,必要に応じ父親のカウンセリングを通し気づかせる努力をはらわなければならない。

○ イの場合
 母親(親)の拒否的な育児態度に対する,子供の反抗としての分離不安なので,やさしく,暖かい母の愛を求めて,執拗(しつよう)にすがりつく子供の心情を理解して,母親(ときに両親)の子供に対する冷たさ,子供を憎むような感情を変容させるためのカウンセリングが必要である。
 なお,この場合も,父親の母親(妻)や子に対するおもいやり,家庭の中核的な役割と責任が重要であることは,いうまでもない。

<子供に対する治療>
 子供が,母親と共に登校できるならば,はじめは,母親に教室の後方等にいてもらい安心させ,次に,園(校)内の居場所を母子で約束して,「そこに行けばいつでも会える」ようにするなどによって,視覚的に分離させ,あくまでも,心の安定をはかりをがら,徐々に分離させることが望ましい。
 また,登園(校)できないときは,親しい友だちとの遊びなどを通じて,母子分離をはかるが,この場合も母親の態度が重要である。

2 小学校中・高学年の登校拒否の治療
 この年代での登校拒否の多くは,
ア.母子関係のまずさ(過保護的,拒否的母子関係)
イ.父母の役割の不明確さ,もしくは反転。
ウ.起立性障害等の思春期特有の症状にもとづくもの。
 などの要因によるものである。
 特にウによるものは,前記1ではみられないもので,この時期から中学校,高等学校の生徒にあらわれてくる。

<親に対する治療>

不登校→親との連絡→登校刺激はさし控えるよう指示
      ↓
    親との面接
      ↓
    タイプの確認→ア,イ,ウ(前記要因)
      ↓         ↓
   親に対する治療   子供に対する治療

 上記要因のア,イ,ウについて治僚(指導)上留意すべき点については,

○ アの場合
 小学校も中・高学年になると,子供の体力や欲求が増大し,過保護でやさしいだけの母親は,子供に負けてしまうようになり,拒否的で,口うるさい母親でも,母親だけの力では,子供を制御しきれなくなってくる。このとき,父親が,明確に統制をとらないために,問題が顕在化してきていることを忘れてはならない。更にこの関係が発展したものが,○イの場合である。だから,両親のカウンセリングを通じて,両親がそろって,現在の子供の問題に気づき,その原因の一つが,両親の子育て上の意見や態度の不


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