研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -017/038page

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一致や自己矛盾にあることを理解し,改善の努力をするよう援助する必要がある。
 そのためには,急がずに,両親と教師の信頼関係を作ることが,治療の決定打になることを忘れてはならない。

○ ウの場合
 いわゆる「立ちくらみ」を主症状とするもので,思春期心身症の代表的なものであり,そのために学校に行きたくない,行けないということで,本来,過敏体質であり,そこへ自律神経の失調がからみ,更に,そこから生じる不安が症状を増幅していることが多い。
 この事情をふまえて,両親の過保護や過干渉,神経質といった養育態度を改善させるためのカウンセリングを実施すると共に,現在の症状が重大な病気をかくしているものではなく,思春期を過ぎると自然に起こらなくなることを理解させ,不安を取り除く必要がある。

<子供に対する治療>
 ア・イの場合,ともに親の養育上の問題等を子供が症状として現したのが,登校拒否と考えられるので,親と教師の信頼関係を基にした,教師の適切な治療により,親の態度が変容すれば,子供は登校するが,そのときになって,学校,学級,教師との再適応の問題が生じることがあるので,教師や友だちが,いつでも連絡のとれる状態を維持していることが大切である。

3 中学校における登校拒否の治療
 中学生になると,前述のすべてのタイプの登校拒否が存在するが,多いのは,神経症的登校拒否のBタイプ,Aタイプの順であり,当センターに来所する中学生も,この二型に属するものが大部分をしめるので,ここでは,Bタイプについて述べるが,いずれのタイプにしろ,中学生の登校拒否の場合,本人を直接治療することは困難なことが多いので,親のカウンセリングを通じて,子供を変容させることになるのはやむを得をい。
 また,子供には,自我の未成熟,慢性化しやすい芽が,すでに小学校時に認められる。一日中何もせず,だらだら過ごす等の特徴があり,休み始めるきっかけは,学習面のつまづき,友人とのトラブル,教師の叱責(しっせき)等,学校と何らかの関係をもったものが多い。

<親に対する治療>

・父親  ・非社交的でおとなしい   ・自我の未成熟  
  ・優柔不断な傾向 子供 ・耐性に乏しい →登校拒否(Bタイプ)
・母親 ・やさしくおとなしい   ・社会性未発達  
      ・自己中心的  
         

 両親の性格等には,上図のような特徴が認められるので,父親に対しては,
 本来の役割を家庭内で果たすように,特に,細かいことに口出しするよりは,「大事なことは父親を中心に話し合ってきめる」といった,いうなれば,中心的役割を果たす自覚をうながす。
 一方母親に対しては,
やさしく,おとなしく,子供のいうなりになることをやめ,父親を助け,いわゆる女房役を果たす自覚をうながすべくカウンセリングしなければならない。
 そのためには,担任,相談係,生徒指導係,学年主任,教頭の有機的結合に基づく指導体制が確立されることが必要であろう。

<子供に対する治療>
 登校拒否のどの段階においても,直接子供に面接することは困難なことが多いが,だからといって教師が拒否的な態度になってはならない。子供に会えなくても,訪問し,親のカウンセリングを通じて,子供に話しかけていく態度をくずしてはならない。また,どんなに欠席が多くなっても,子供と会える状態になることを信じ,いつでも受け入れる,受容的な態度を維持しなければならない。

4 高等学校における登校拒否の治療
 高等学校においても中学校同様,すべての夕


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