研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -018/038page

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イブの登校拒否が存在するが,特に多いのが,神経症的登校拒否のAタイプ,Bタイプ,次に,怠学傾向の無気カ、非行であり,一過性,積極的意図的,精神障害等がほんの少数存在する。
 ここでは,Aタイプに視点を置いて述べることにする。
 Aタイプの登校拒否を生む背景としては,高校の学習内容のレベルアップと子供の力のひらきや,中学校と違って学校規模も大きく,学区も広くなり同一中学から入学してくる子供が少ないため,友だちが出来にくい等が考えられる。そこに教師が「大人だから」とつき放し,細かく面倒をみないことがあったりすると,社会性の未発達な子供は,孤立化し,それに,中学校での進路意識の不明確さと学校選択の不適正さなどが重なり,奮起するより挫折することになり,Aタイプの登校拒否を起こしやすい。従って,学校においては,以上の点が少しでも改善されるよう適切な指導がなされなければならない。Aタイプの登校拒否には日ごろの観察や面接によって事前に予測し,適切な予防措置がとれるものが多い。

<親に対する治療>
 Aタイプの子供の多くは,中学までの成績が優秀であり,それだけに親はおどろき混乱し,親自身が,一時的に状態把握が困難になることが多い。
 教師は,カウンセリングを通じて,正しい認識に立って,子供の現状を理解し,対処できるよう指導しなければならないが,特に次の点に留意したい。
 ○ 急性で,きっかけも割合はっきりしているが,症状の進行が速い。
 ○ 「とじこもり」の程度がひどい。
 ○ 「学校へ行けないこと」に対する罪の意識が強い。
 ○ 「登校刺激」に過敏であり,暴力的になることもある。

 また,親子関係は,

・父親  ・まじめでおとなしい (期待・支配)
 ―――→
子供 ・きちょうめん
・まじめ
・自分に対する要求水準が高い
  ・知的水準が高い 
  ・期待が大きい
・母親 ・しっかりして男まさり
  ・知的水準が高い
  ・期待が大きい

 思春期の子供は,反抗しながら危機をのりこえていくのだが,親の支配が強すぎたり,子供の,依存心,同一化などが強く,人間関係に対する柔軟さを欠いた場合は子供自身の内部の葛藤に苦しみ,親に対する無意識の反抗として登校拒否を起こす。親は,中学校までの子育ての問題に気づかず,むしろ自信さえ持っており,教師のはたらきかけに素直に応じなかったり,表面では応じていても一向に態度を変えようとせずカウンセリングにも苦慮することが多い。
 しかし,親の態度の変容がない限り,子供が登校拒否から解放されないのだという強い信念で親のカウンセリングを続けなければならないと考える。

<子供に対する治療>
 親が,登校拒否であることに気づき,教師に相談するのは,前述の攻撃的または,無気力な時期になってからであり,大部分の子供は,家庭訪問しても,教師には会わない。
 このような場合,無理に会うことを強要したりせず,親のカウンセリングを通じて,家庭内の人間関係の安定をはかるのが望ましい。
 子供に会って,そっぽを向かれても,腹を立てたり,無理に説得したり,説教めいた話をしたりせず,ひとりの人間として対等の立場で,かつ受容的な態度で接し,子供が心を開くのを待つべきである。


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