研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -004/071page
II 研究の構想
1 第1年次研究の経緯
本年度研究の基礎となる教育課程評価に関する理論を構築するに当たって,はじめに,第1年次理論研究の概要をとりあげることにする。教育課程経営の意義・機能などの基本的事項及び,経営的発想に基づく教育課程のPDSをどのようにとらえたかを述べ,本年度研究の視点・方向性を導くことにする。
(1) 学校経営概念把握の観点
○ 学校経営を,学校教育本来の目的を効果的に達成するための教育活動や教育的機能に焦 点をあてた見方をすること。 ○ 学校経営を,マネージメント・サイクルの経営過程に即して経営的機能が発揮される動 態的な経営観にたった見方をすること。 (2) 学校経営の意義・機能
図1
学校経営とは,図1に示すように,目標系列と条件系列をより機能的に結びつけながら目標系列のはたらきを推進していく営みである。目標系列は,教育課程にそって展開される一連の教育目標達成の系列であり,学校教育本来の目的を達成するための教育的機能をもつ。教育課程経営は,この目標系列の機能発揮のための営みであるともいえよう。
(3) 学校経営評価の意義・機能
○ 学校教育本来の目的を効果的に達成するための教育活動及びそれを支援促進する経営活 動が,教育の効果をあげるのにふさわしく機能しているか,その状況を総合的・客観的に 評価し,学校経営の改善を図ること。 ○ 学校経営評価は,計画―実施―評価―計画改善に至る一連の経営過程の中で相互関連的 にとらえられ,全体的・巨視的な立場で総合的に判断する動態的な評価である。 (4) 教育課程経営の位置づけ
○ 安彦忠彦氏は,教育課程経営は学校経営の中核であるとして,次のように述べている。 図2 教育経営,学校経営,教育課程経営の概念相互の関係
図3 教育課程経営の位置と意義
「教育課程の経営は,図2に示すように,学校経営の一部に過ぎないが,それは他の部分の経営活動とは異なり,図3にあらわされるように,直接に教授・学習活動を規定する経営活動である。この意味で,教育課程の経営が学校経営活動の中核に位置づけられ,すべての経営活動が自覚的にそれに向けて焦点づけられていることが必要なのである」(注3)
○ 本研究を進めるに当たって,教育課程経営の位置づけについては,上述の安彦氏の考え, 並びに福島県教育庁義務教育課編「学校教育