研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -013/071page

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したがって,そのような意味における教育評価の対象としては,教育活動に関連をもつ全てのものが,いいかえるならば,教育の成果に何らかの意味で関与する全てのものがあげられなければならない。それらのうち主要なものを中核的なものから周辺的なものへと整理してみると,6つの水準・13種の対象に分けられよう。

水準 対象
1 (1)児童・生徒個々人
2 (2)教育活動
3 (3)カリキュラム
(4)教師
4 (5)児童・生徒集団
(6)教師を含めた学級
(7)教師集団
(8)学校全体のあり方
5 (9)基本的施設
(10)校地及び校舎
(11)地域的環境
6 (12)教育行政的システム
(13)全体社会における学校の位置と機能

教育活動の最終的目標が児童・生徒個々人の成長・発達にあることからしても,これらの評価対象のうちでも,児童・生徒の評価の優先的重要性は自明のことと言って良い。教育評価という言葉を狭義において用いる場合には,これ以外の評価は含まれないのが普通である。その意味においても,このような評価は,教育評価の最も中核に位置するものと言えよう。

教育評価の対象

しかし,個々の児童・生徒のさまざまな能力の伸長・進歩を促すことが教育活動の主な目標であるならば,その伸長・進歩を評価することこそが教育評価であり,狭義の教育評価はこれのみといってよいだろう。児童・生徒の既有知識,興味,学習意欲などの前提条件の評価や,形式的評価に代表される学習進度の状態の評価,さらに,子どもの学習習慣や知能,適性(認知様式)など子どもの特性をとらえるための評価をも含めた児童・生徒の評価が教育評価であるといえよう。

[2] アカウンタビリティーの考え方

アカウンタビリティーの考え方については,主として奥田真丈氏の著書に多く述べられているので,その文献をもとに紹介することにしたい。

奥田真丈編 「現代学校教育全集4教育課程の編成」 (ぎょうせい)
アカウンタビリティーとは,学校や教育委員会など学校の当事者は,自分たちが行っている教育計画がどれだけの成果をあげているかを,教育の主権者であり納税者であるところの市民に報告する責任があるという,この教育成果報告責任をいい,近年アメリカにおける教育評価を特色づけている思想である。このような思想が高まってきた理由として,
[1] 昨今教育費が増大しているが,それがどれだけの成果をあげているかを知りたいという 社会の関心の高まり
[2] 新しく金のかかる教育計画が開発されるが,これがほんとうに生徒たちに力をつけている だろうかとの疑問
[3] 学校が優秀な生徒だけでなく,大部分の生徒の学習を成功させているかどうか,落ちこ ぼしてはいないかの関心
[4] これまで,生徒の学習の失敗の責任はその生徒に負わされたが,近年,教師・学校にも 責任があるという考え方の浸透
[5] 教育管理者が,教育予算や設備の配当についての決定のために,成果についての情報を


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