研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -014/071page

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必要としていること
などがあげられる。こうしたアカウンタビリティーの思想が,例えば学力調査のような形で,カリキュラム評価を要求するのである。

奥田真丈編 「現代学校教育全集15 教育指導の評価」(ぎょうせい)
わが国においては,教育課程評価の目的に,このアカウンタビリティーの考え,即ち,社会や市民に対する教育成果の報告責任が,現在までのところほとんど問題にされない状況であるが,教育評価には,学校,地域,府県,国の現在の教育成果を市民や国民に報告して,その知る権利にこたえなければならないという重要な目的をもつものである。

(3) 二つの間題に対する本研究の立場

本研究における教育課程評価に対する基本的な考え方にもとづいて,教育評価及びアカウンタビリティーの考え方を問い直した場合,授業を中心にすえ,教育課程の適否や教育成果に焦点を当てている面では,同じ方向性にあると考えられる。特に,狭義における教育評価での児童生徒の評価に対する優先の考え方や,アカウンタビリティーにおける教育計画と教育成果との関連性重視の考え方は,教育課程評価が,教育課程の改善を最終のねらいにして行われるという考え方と十分合致しているものである。

さらに,この二つの問題の考え方に立って考えていけば,教育評価も教育成果報告責任も,終極的には目標達成の有無が問題となり,そこには,当然,教育目標達成の評価と同時に,児童生徒の学力・行動の評価が重要になってくると考えられる。

しかし,前項でも述べたように,教育課程評価は,あくまでも教育課程の編成,実施をより適切なものにするための資料を得て,改善の方向性を明らかにし,その方策を立てることにあることを忘れてはならないであろう。教育目標達成の評価も,児童生徒の学力・行動の評価も,教育成果の報告責任というよりも,その評価の結果を次の教育課程の編成にどのように生かし授業の実際に直接かかわる指導計画や指導方法の改善にどのように結びつけるかという考え方でとらえることが大切になってくるであろう。

このことについて,安彦忠彦氏は次のように指摘している。「今日,子どもの学習活動に対する評価や授業全体に対する評価は盛んに行われているが,教育課程の編成,教材の選択や配列・実施過程における個々の指導活動やそれを支える条件整備等について評価されることは非常に少ない。(中略)中間テストや学期末テスト,さらには小テストまで含めて,一般には,その成果を集計して段階評価するといった子ども一人一人についての学習活動の成果を結果的にとらえようとする目的から行われる評価活動で,それは教育課程の経営の一部としての活動よりも,子どもを相互に比較しながら序列づける評定に終わりがちであった。従って,この評価活動をもっと教育課程の経営に結びつけるということを考えていく必要がある。即ち,評価結果をもたらした理由・原因は何か。もし,そこに望ましくないズレが生じていれば,その原因をどう除去し,代わりにどういう手だてを用意すべきか,それに必要な人員と物的条件はどうか。そして何よりも教育課程それ自体改善すべきことはないかなどの教育課程経営上の諸問題を明確にできるような評価活動をすべきである」(注6)

以上の考えをもとに,本研究においては,児童生徒一人一人の学力や行動の評価活動も,評価の結果から一人一人をとらえるのではなく,評価作業,評価過程で得た結果を,教育課程改善のための資料として活用することに重点をおいて行わなくてはならないと考える。そうでないと,安彦氏が指摘するように,児童生徒の学力・行動の評価及び教育目標達成度の評価が,教育課程改善に発展しないばかりでなく,編成


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