研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -017/071page

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育課程評価の特色について述べることとする。

(2) 経営的発想に基づく評価の特色

先に,教育課程経営の機能を,教育活動と経営活動との有機的な関連により,教育課程をダイナミックなPDSとしてとらえ,学校教育の効果を高めるはたらきであると述べてきたが,教育課程の評価もまた,この経営的な発想に基づいて行われてこそ,はじめてその効果が期待できるものであることは,前項にて論述してきた通りである。すなわち,動態的な経営観を土台にした評価活動の重要性を再認識したわけであるが,この項においては,この動態的な経営観をもう一度見直し,教育課程経営の評価においても重視すべき事項をまとめることによって,本研究における教育課程評価の特色を浮きぼりにしてくことにする。

動態的な経営観については,当センター紀要第42号,また,教育課程における動態的な経営観については,第45号で論述しているところであるが,教育課程の経営の中心にその要点をまとめると,次の二つを挙げることができよう。

教育課程を編成のみの部分的,断片的なとらえ方でのみ考えず,編成―実施―評価へと連続する過程として,全体的,総合的にとらえなければならない。即ち,教育課程のPDSが,連続したP―D―S―P'と相互関連的に考えることができる。

時間の流れに沿って連続して展開される教育課程のPDSが,常に教育目標や経営方編成の基本方針等にコントロールされるという考え方でとらえ直すことである。即ち,編成された教育課程も,日々実践される授業も,常に教育目標や編成の基本方針等に合わせて対応し,対処することである。

教育課程の経営をこのようにマネージメントサイクルに従って動く動態的な考え方と,教育的機能を重視するという考え方にたつならば,教育課程の評価もまた,このような考え方に基づいて行われなければならないことになる。

本研究における教育課程評価の特色を浮きぼりにするには,この動態的な経営観を土台にした経営的な発想に即して重視すべき事項をおさえることが肝要である。以下,教育課程評価における重視すべき事項を述べることにする。

[1] 経営過程の重視評価対象を部分的に個々にとらえて評価するだけでなく,P―D―Sの経営過程の中に位置づけて,それぞれの評価対象ごとの教育課程の実態をとらえ,次年度の教育課程改善の資料に生かせるような評価でなければならない。経営課程が,P―D―Sの円環的なサイクルより,むしろP―D―S―P'へと循環的・発展的につながりをもつことにより,評価の機能が生かされることと,各対象ごとのP―D―Sの評価結果が,教育課程経営全体のPDSの評価に深くかかわることにより,教育課程経営を巨視的に見直す動態的な評価が可能になるのである。

例えば,教育目標の具現化をめざす重点目標が,具体的な年間指導計画や学級経営計画にまでどのように連動し,それらの計画が日々の授業の実際にどのように結びつき,その成果がどう評価され,それが計画改善に生かされたかどうかを,各対象毎に評価するだけでなく,連続した教育活動として相互関連的・総合的に評価することが大切なのである。

[2] 目標系列の重視

教育課程評価は,個々の授業が有効に進められるために選択された目標系列と条件系列が有機的に関連づけられ,どのように目標達成へ迫ったかを診断することであると論述してきた。すなわち,授業を中核とする教育課程の展開すべてを評価するものであるとした。

このように,教育目標―教育課程―日々の授業という一連の目標系列を条件系列のかかわりの中で,PDSの経営過程に即してとらえ直すことが,教育課程の評価本来の機能と考えるならば,この目標系列に属する教育活動をどう評価するかが,ますます重視されな


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