研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -019/071page

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るとされるが,直接の評価対象・範囲として,次のようなものがあげられている。

○ 子どもの学力・能力・行動特性・態度・性格
○ 教師の指導活動
○ 子どもの学習活動
○ 授業の背景的要因

しかし,この評価対象・範囲の中でも,第一にあげた児童生徒自身にかかわるものは,評価対象・範囲というより,むしろ教育課程評価の手掛り,手段,指標としての基礎的活動であるとうけとめられる。これは,本研究でとらえた教育課程改善の資料として活用するという考えと一致している。

即ち,個々の児童生徒が教育活動をとおして獲得する教育目標の達成状況や教育成果・学習成果としての学力・行動等の結果や評定は対象・範囲とせず,学級・学年等の集団としてトータルされ,教育計画や指導方法等の改善に生かされる資料は,評価の対象・範囲とする考え方が一般的であると思われる。なお,このことについては,すでに,この章の二項にて,安彦患彦氏,原 実氏の理論をもとに論述しているので,省略する。

[2] 教育課程評価目的による評価対象・範囲の決定

文部省指導書においても,教育課程評価の対象は,教育課程の編成から,各教科,道徳及び特別活動における指導計画,指導方法などに及ぶものであり,さらに,編成・実施に関する運営上の配慮をも評価の対象と述べているように,教育課程のすべてにわたるという点は,前述と同じ考え方である。しかし,これに加えて,小学校教育課程一般指導資料では,教育課程評価の対象と観点は,広範かつ多角的であるので,まず,何のために教育課程の評価を行うかという評価の目的を明確にし,この目的に即して評価の対象と観点を定める必要があると述べている。

これは.それぞれの学校の教育課程の目的に応じて,教育課程の評価の対象や観点はきめられるべきものであり,さらにそれは,実際に評価する段階で決められるものではなく,年度当初,評価計画に位置づけるなどして明らかにしておくことを意味するものであろう。評価の対象が広い範囲にわたるものであればあるほど,学年末や学期末という特定期間に,そのすべてを評価対象として評価を行うことは,教育現場においては容易なことではないので,評価の目的により評価対象を吟味して,決定することが肝要であると受けとめるべきであろう。

即ち,教育目標見直しのためとか,教育課程全般の改善のためとか,指導計画の改善・修正のためとか,まず評価の目的を明確にした上で,対象・範囲及び観点を決定することであろう。評価の主体者である各学校の実情に応じて,対象・範囲や観点を定めていくようにすべきであろう。

[3] 本研究における評価の対象・範囲の考え方
  ――目標系列の教育活動の重視――

ここまで,教育課程評価の対象・範囲についての一般的な考えを述べてきたが,ここでは,それらの考えに基づきながら,本研究での評価対象・範囲の基本的な考え方をおさえることにする。

前章において,教育課程経営とは,学校経営のいろいろな要素や機能との相互関連を保ちながら,教育目標から授業に至る教育活動がマネージメント・サイクルの流れに乗ッて,計画的・組織的に展開されると同時に,常にコントロールされて教育機能を発揮させることにあると述べた。このような考えをもとにした教育課程評価もまた,この教育活動が,それを支える条件系列の経営活動と有機的な関連により,ダイナミックなPDSとして計画的・組織的に展開されて,その機能をいかに発揮しているかを診断・評価することであるととらえるべきであろう。これまでも述べてきたように,教育課程評価の対象・範囲は,


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