研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -031/071page
5 教育課程評価の実施方法
教育課程の評価を効果的に実施するためには,評価のねらいに応える評価票の開発と同時に,各学校の教育課程経営に関する教職員の意識や雰囲気も極めて重要な役割をもっている。教育課程経営に対する意識の高い学校であれば,評価の意義,必要性についての理解がなされているので,評価の実施もスムーズに行われ,その得た評価結果にもより高い信頼性が認められ,評価のねらいも達せられることになる。しかし,教育課程経営に対する意織の低い学校であれば,実際に評価を行う以前に,その意義・ねらい等について共通理解を図らなければならず,評価の実施を阻害するいろいろの問題点が生じやすく,その効果も期待できないことが予想される。
教育課程の評価を実施するに当たって留意しなければならないことは,教職員の意識のあり方を評価実施の過程で,いかに培い高めていくかにある。そのためには,評価票の作成を含めて,評価を実施していく過程そのものに着目し,教職員の意識の高揚をめざしながら,実施の手順・組織・時期等の実施方法を十分配慮する必要がある。このような考え方にたって,教育課程評価の実施方法について,手順・組織・時期の三つに分けて,考えてみることにする。
(1) 教育課程評価の手順
評価の手順を評価活動の展開過程から考えてみると,評価の計画・準備→評価の実施・処理→評価結果の考察・活用の順序で進められるのが一般的である。この手順に従って実施されるきめこまかな一連の評価活動があってこそ,はじめて評価のねらいが達成され,評価機能も生かされることになるのである。また,このような評価活動の各過程においてこそ,教職員の意識の高まりも期待することができるのである。教育課程の評価におけるこのような手順をP―D―Sの経営過程の考え方に立ち,計画(P),実施(D),評価(S)の三段階に大別して,その主な活動を整理してみると,次のようにまとめることができよう。
表3 評価活動の手順
段階 評価活動の手順 計画(P) (・意義,・必要性,・評価内容)
教育1課程評価についての共通理解
↓
(・組織,・実施時期,・日程)
教育課程評価の評価計画樹立
↓
( ・評価のねらい,・評価領域,
教育課程評価票の作成(自校化)
・評価項目,評価観点,
・評価尺度,処理集計)
|実施(D) ↓
(・全職員参加による評価票への記人)
教育課程評価票への記人(評価票)
―学期末・年度末―
↓
(・評価票のとりまとめ,結果の集計・処理)
教育課程評価結果の記人(集計票)
|評価(S) ↓
( ・集計結果から問題点・改善点の抽出
集計結果の考察・検討
・問題点,改善点の考察(吟味検討))
↓
(・改善視点,・改善方法,・改善策)
改善策の検討
↓
( ・次年度(次期)重点目標,努力点の設定
次年度(次期)教育課程経営への反映
・具体的な計画改善)(2) 実施の組織
教職員の意見を教育課程の経営に反映させるためには,その意見や意思の集約と共通理解を図る組織・運営が必要である。教育課程の評価の場合を考えてみても,評価を効果的に行うためには,評価組織の確立と,その組織をいかに効率的に運営するかが問われることになるのである。実際に,評価活動を行うその都度,全体