研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -041/071page
教育課程の評価を行うとき,問題点と思わわれることはどれですか。三つ選んで下さい。
ア 職員の意識が低い。 イ 共通理解を図るのがむずかしい。 ウ 組織化がむずかしい。(組織的にできない) エ 計画がたてにくい。(計画的にできない) オ 調整化がむずかしい。(計画,行事,人的組織等から) カ 方法がむずかしい。(評価票,評価用具を含めて) キ 研究不足,理解が困難である。 ク その他
〈集計〉
項目 ア イ ウ エ オ カ キ ク 小学校 19 41 41 31 26 63 37 42 中学校 22 53 28 17 33 78 50 19
N=147
N=108
100%〈考察〉
問(1)の小学校の調査では,アの全体会に66%も回答が集中している点に注目したい。確かに,全員参加のためには全体会が大切であるが,いつでも,この全体会で行うことは,教育現場の現状から推測すると無理である。それでも,アに集中していることは,評価活動のために話し合いの実質的な作業が十分行われていないことの表れと受けとめることができよう。また問(2)の中学校の調査では,全体会を除いてみたわけであるが,アの33%,イの22%の両者で約半数を占めている。小学校でも,イの学年会・教科部会は17%であるので,全体会以外の組織では学年会・教科部会と代表委員会が,評価活動の中心的な役割を果たしているといえるであろう。
しかし,学校の組織を十分活用し,機能的な評価活動を行うには,問(1)のカ,問(2)のオのように,いくつかの組織を組み合わせて行うのが理想的であるが,残念ながら現状においては,組織的な評価活動が,まだ十分でないといえよう。
特に,問(1)のエ,問(2)のウが活用されていないということは,編成過程における教育課程委員会は,その時だけの組織であって,評価過程にまで,連動していないということの表れではなかろうか。
問(3)の設問では,評価活動の実際における問題点を調査したわけであるが,小・中学校を通して第1位にあげられているのは,「評価方法」である。組織だけについてみると,ウは小学校41%,中学校28%となっており,やはり,評価活動上の問題として,大きな比重を占めていることがわかる。さらに,問(1),(2)の調査結果と考え合わせて推察すると,教育課程評価のための組織化においては,各学校の実態や実情に応じた問題点があると同時に,編成・実施・評価を見通した組織の確立までには至っていないという見方ができるろう。また,その活動の実際においても,学校全体の組織を活用した組織的,機能的な評価活動とまでいかず,手順・方法等との関連も十分図られていないと考えることができるであろう。
以上の調査と考察から,教育課程評価の組織とその活動の実際についての問題点を集約すると,次のようなことが指摘できよう。
〈問題点〉
○ 教育課程評価のための組織とその活動には,編成過程における組織的活動と比べて,組織の偏りや組織間の連携が見られず,学校全体の組織を生かした機能的な活動に至っていない。
(3) 教育課程評価のための計画とその推進
このことについては,次の三つの設問及び集計結果から考察し,問題点を明らかにしていきたい。
ア 教育課程評価推進の実際―――――問(1)
イ 教育課程評価の実際(中学校教員)―問(2)
ウ 教育課程評価の問題点(小・中学校) 問(3)
(ア)問題点の有無―――――――――[1]
(イ)問題点の実状(記述式)―――――[2]
(ウ)問題点への対処(記述式)――――[3]
問(1) 教育課程の評価はどのように行っていますか。一つ選んで下さい。
ア 評価計画を立案し行う。
イ 評価委員会の指示に従って行う。
ウ 校長,教頭,教務等の指示に従って行う。