研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -043/071page

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方法や評価票などに回答が集中している。このことからも,各学校での評価活動の実際においては,手順・方法(評価票も含む)までを含めた見通しのある評価計画の樹立が,まだ十分でないということが指摘されるであろう。すなわち,年度はじめに立案される評価計画には,手順や方法を適切に位置づけ,具体的な評価方法としての評価票の作成までを含めることが大切ではなかろうか。

以上の調査と考察から,教育課程評価の計画その推進についての問題点を集約すると,次のようなことが指摘できよう。

〈問題点〉
教育課程評価のための評価計画に対する理解や認識はまだ十分でなく,評価活動を効果的に推進するための具体的な手順・方法が,計画的に位置づけられていない。

(4) 教育課程の評価における問題点のまとめ

これまで述べてきた教育課程評価における問題点を,個々の問題点としてのみとらえず,評価過程の問題点として関連的にとらえるために整理すると,次の表のようになる。

〈表1〉 教育課程経営にお'ける評価過程の問題点


教育現場の意識はどうか 評価組織と活動状況はどうか 評価計画とその推進状況はどうか
調査・考察での具体的問題点 ○教育課程評価に対する職員の意識はまだ十分といえず,理解・認識を高める具体的・な手だてを講じる必要がある。
○教育課程評価のねらいについての理解や認識が不足している。

・職員一人一人の理解・認識の希薄さが目立っている。
・共通理解を図り,職員の意識を高めるための手だてがたりない。
○教育課程編成・実施における意識より評価は低い傾向にある。

・教育課程を経営的な発想からとらえ直す見方が十分でない。
・P・D・S・P'の各過程を動態的にとらえる考え方が十分でない。
○教育課程評価の組織についての理解・認識がたりないため,学校の組織を生かした教育活動が十分でない。

・全員参加のための全体会だけにたよりすぎ,実質的な評価活動が行われない。
・学年会・教科部会,または代表委員会等の組織活動が目立ち,他の組織が生かされていない。
○教育課程委員会が編成過程での活動にとどまり,実施・評価過程にまで連動されていない。

・教育課程委員会が,評価過程では活用されず,編成活動での組織にとどまっている。
○教育課程評価のための推進計画についての理解・認識がたりないため,評価計画に見通しや具体性がない。

・評価活動を推進するための評価計画という考え方が,まだ十分でない。
・年間を見通した評価計画になっていないため,具体的な手順・方法・評価票の位置づけがなされていない。
・教育課程経営の発想で,評価過程をとらえていないため,P―D―S―P'が連動しない。
・編成計画と比べて,評価計画にきめこまかさがたりない。
・組織との関連が図られていない。
問題点のまとめ 教育課程評価に対する教育現場の意識は編成・実施における意識より低く,教職員個々の理解・認識を得るまでには至っていない。教育課程経営の考え方に立った評価活動の実践を通して高める必要がある。 教育課程評価のための組織とその活動には,編成過程における組織的活動と比べて,組織に偏りや組織の断絶がみられ,学校全体の組織を生かした機能的な活動がみられない。 教育課程評価のための評価計画に対する理解・認識が十分でなく,評価活動を効果的に推進するための具体的な手順・方法が計画的に位置づけられていない。


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