研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -046/071page

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V研究のまとめ

1 研究のまとめ

第1年次研究において,教育課程経営上,評価より改善に至る過程への積極的な取り組みが今日的課題であり,課題解決のための一つとして,総合的・客観的な教育課程評価票の開発が教育現場より最も要請されていることを確認した。本年度は,このことをふまえた研究の構想に基づき研究を進めてきた。教育課程評価をどのように行うかは,各学校の教育課程経営のかかえる問題点や評価の目的により異なるので,評価方法の一つとしの教育課程評価票も各学校の主体的な研究により実情に即して作成されることが望ましい。しかし,教育課程改善につながる実践的な教育課程評価票を,各学校がそれぞれ作成することは,教育現場の現状からして容易ではなく,このことが,実際の評価活動を阻害していたともいえるのである。

本プロジェクトは,教育課程経営の改善に役立ち,教育現場の主体的な評価活動に活用される実用的な教育課程評価票の開発が必要であるという課題意識をもち,研究の方向を見定めたのである。教育現場の各学校に広く活用され,教育課程経営上の諸問題解決の有効な資料となる評価票(試案)開発のために2年間の研究期間をあてた。そして本研究の最終年次である第3年次に,教育課程評価票(試案)を研究成果として発表するという計画で研究を進めている。本年度研究は,当教育センターとしての教育課程評価票(試案)開発のための一過程ではあるが,本研究全体の核となる研究内容をもっている。以下,その研究のあしあとをここにまとめる。

(1) 第1章「研究の趣旨」

はじめに,上述のような本年度研究の趣旨並びに方向性を確立した。教育課程評価に関する基本的事項の解明,教育現場における教育課程評価に関する実態把握,そして,教育課程評価(試案)の素案作成と研究協力校における試行を研究の3本の柱として進めることにした。

(2) 第2章「研究の構想」

研究の構想では,教育課程評価に関する理論構築と,教育課程評価票(試案)の素案作成に,第1年次研究が生きるよう,はじめに,第1年次研究の経緯としてその内容を要約した。そして,これをふまえて,本年度の理論研究と素案づくりのための構想を明確にし,研究推進に筋がとおるようにした。

(3) 第3章「研究の基盤」

研究構想に基づき研究を推進するための理論について,各節の主な骨子は次のとおりである。

[1] 教育課程評価の意義


現在,教育課程評価の実践が教育現場になぜ強く求められるのか。その意義は何なのか。本研究が問題にしてきた経営的発想と,新教育課程の趣旨の実現という二つの観点から吟味した。

[2] 教育課程評価の周辺


教育課程評価を考えた時必ず問題になるのが個々の児童・生徒の発達状況や学習成果をどうみるかということである。本研究は,このことについて「教育課程評価の概念」並びに「教育評価」,「アカウンタビリティ」に関する学説をかかげ,これらに対する本研究の立場を明らかにすることで解明したつもりである。即ち,教育課程評価を教育課程改善の資料を得るためのものとみるのである。


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