研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -047/071page

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[3] 経営的発想に基づく評価


これからの評価のあり方では,経営的発想に基づいて考えることが大切であり,教育課程経営においても,編成(P)の段階ですでに実施(D),評価(S)をも含めて計画されなければならないことである。また,学習のプロセスや段階ごとの評価やたしかめなど,形成的な評価の考え方をとりいれ,評価機能を十分発揮させなければならないことである。以上の二点を強調し,本研究における教育課程評価の特色・方向を提示した。

[4] 教育課程評価の構想


本節は,教育課程評価票(試案)開発の礎石となる部分である。評価の対象・要素の設定をどう進めたかを明らかにしている。特に,目標系列に属する教育活動を評価の対象としながらも,条件系列の経営活動を機能的に関連づけようとした。並びに,要素の設定に当たって,各評価対象ごとにPDSの動態的評価を加味し,その経営過程を分析した点については,本年度研究の特色ともいえるだろう。

[5] 教育課程評価の実際


教育課程評価票(試案)の開発は第3年次になる。教育現場における教育課程評価に関する教職員の意識の高揚,理解の深化に役立ち,実施をすすめる一助として,実施方法について,手順・組織・時期の三つに分けて述べてみた。これを各学校の実情に即して具体的に自校化し,実施されることを期待したい。

(4) 第4章「教育課程経営に関する調査と考察」

教育課程全般に関する実態調査から,研究に深い関連性のある設問を選び出し,第1年次,第2年次研究について実証的な追究を試みた。調査結果から,教育現場における教育課程経営の実際は,編成・実施・評価の各過程が連動せず,特に,教育課程評価の実質的な活動に落ち込みがみられる。本年度の研究よりその方向を評価過程のあり方に求め,課題解決の決め手として評価票の開発を目指したことも,実態に即したものと思われる。

2 本年度研究の成果

本年度研究の成果を,研究の3本を柱としてうちたてた観点からまとめると次のとおりである。

(1) 教育課程評価に関する基本的事項の解明

児童生徒の学力・行動等の評価や心身の発達についてどう考えるか」を,「教育評価」や「アカンタビリティ」の問題をとおして一応明確にしてきた。また,経営的発想に基づく教育課程評価のあり方について論述してきたことは,本年度理論研究の成果である。

(2) 教育課程経営に関する実態把握

本年度は,県内中学校の15%にあたる調査対象校を選び調査を行った。さらに,研究との関連性の深い設問については,前年度の小学校の集計結果とあわせて考察を行ったので,県下小・中学校の教育課程経営の実態を把握しているとみてよいのではないか。特に,本年度は,理論編とのかかわりから評価の過程に焦点をあてて分析してみた。

(3) 教育課程評価票(試案)の素案作成

教育課程評価の重要性が認識されている現在,教育現場の要請にこたえるために,当教育センターが「教育課程評価票(試案)」の開発を進めることは意義のあることである。本年度,その試案作りが具体的に進められた。小・中学校各3校の全教職員,及び小・中学校各11校の代表教師による試行までこぎつけたことは,最終年度の研究に向けて大きく前進したといえよう。

3 今後の課題

これまで,教育課程の経営及び,教育課程評価についての基礎的研究としての理論的研究と,県


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