研究紀要第51号 「学習指導の個別化 個に応ずる研究」 -077/080page

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また,「コー一ス別学習課題」の内容は,T or Fテスト,Q and A,自由表現が中心であったが,各セクション・パートの言語材料が少ないだけに,もっと変化のあるものにすべきであり,今後の大きな課題となろう。

[2] 「個に応ずる働きかけ」について

個別化本来の姿は,生徒一人一人にじっくり時間をかけ,個別指導を行うことであろう。本研究では,一斉授業においての展開であったために,おのずと限界があり,個別指導を深められなかったのではないかと反省している。しかし,その不足分は,きめ細かい資料の活用により,ある程度解消できたと思う。とりわけ,生徒の言動を大切にしながら,賞賛し,励ますことにより,生徒を共感的に理解してやることが何より大切であろう。40名のクラスなら,40名の特性をもつ生徒がいるわけで,画一的な指導では学習が成立しないのは当然である。「個に応ずる働きかけ」をする準備には,かなりの労力と時間を費やすことになろうが,最小限の実態は把握すべきであろう。

要するに,生徒を全体でみるのではなく,個としてとらえる姿勢こそ大切なのである。

[3] 「授業の実際」について

生徒一人一人は,自分のめあてに焦点をあて,目的意識をもって授業に参加し,一貫性のある学習指導過程の中で,教師の助言・指導を受けながら確かな学習の成立を目指したわけであるが,次のような反省点があげられた。

聞く,話す領域での研究であったが,他の領領域との関連に工夫がほしかった。
学習訓練が徹底していなかったため,アンササーポールの機能が十分果たせなかった。
分枝型学習形態に入ってからの学習時間がややや不足気味であった。
コース別学習課題の解答や,発表のさせ方に難点が目立った。
余り多くの生徒に働きかけようとしたため,上すべりの傾向が見られたので,一単位時間に働きかける対象生徒をしぼるべきだった。

以上,今回の研究は,いくつかの課題を残しながらも,数多くの成果をあげることができた。この研究に用いた資料や,手だてが,実践の場に少しでも役に立ち,子どもたちに還元できればと願っている。


参考文献 (英語科編)
1. 中学校指導書 外国語編  文部省
(開隆堂出版)
2. 英語科到達度評価の実践 中学・高校編
京都英語科到達度評価研究会編
(地歴社)
3. 英語科到達度評価 佐々木元禧序・大西匡哉編著
(明治図書)
4. 英語科における個別化指導の理論と実践
堀口 俊一著
(桐原書店)
5. 個別化学習の実践 下巻 佐伯 正一編
(明治図書)
6. 授業の個別指導入門 安彦 忠彦著
(明治図書)
7. 授業研究No.221,1981−4,特集
―一斉授業中における個別指導の工夫―
(明治図書)
8. 授業における診断的評価に関する研究 
―イメージ・テストによる授業システムの評価―
(神戸市立教育研究所 研究報告第180号)
9. 教師のための「統計入門」
―電卓の使い方から検定まで―
(福島県教育センター)
10. 授業研究の評価「2−1−2方式の授業研究」
(福島県教育センター紀要第39号)
11. 学習指導の個別化「個を認める研究」
(福島県教育センター紀要第41号)
12. 学習指導の個別化「個を生かす研究」
(福島県教育センター紀要第47号)
13. 「数学I」・「英語I」における目標分析と形成的評価問題に関する研究
―習熟度別学習を進めるために―
(福島県教育センター紀要第48号)


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