研究紀要第52号 「教育課程の実施に関する研究」 -023/090page
26%へと約半数に減ってしまう。
中学年では,学習内容が深められ,楽しく喜ばしい状態で学習に取り組んでいた児童も,高学年になるにつれて表現力・技能・音楽性などに少しずつ差がつきはじめる。その結果,しだいに消極的な学習態度となり,自らを高めようとする意欲に欠けることになる。この時こそ教師は児童一人一人を認める場を設け,それぞれの発達段階に見合う目標を持たせることが大切である。そして,自らの意志でやりとげる充足感を与えることによって,音楽学習への意欲を高めることになり,結果として授業を楽しみにする児童の増加につながるものと思われる。
問3 あなたは,音楽の時間で歌うことはすきですか。 (1) 結果
表3:音楽の時間で歌うことについて
(数字は%)
\ 学年 項目 \ 3年 4年 5年 6年 男 女 男 女 男 女 男 女 たいへんすきです 24.0 32.8 17.1 33.2 5.1 25.5 7.5 28.1 すこしすきです 16.3 24.1 13.2 16.8 18.1 27.1 14.2 22.6 ふつうです 38.2 39.4 45.0 34.0 39.2 36.4 35.8 35.7 あまりすきではありません 12.6 2.5 15.5 11.5 22.4 9.7 28.4 12.7 ぜんぜんすきではありません 8.9 1.2 9.2 4.5 15.2 1.3 14.1 0.9 (2) 考察
この項は,今回の研究の中核である歌唱について,児童はどのような意識を持っているか調査することを目的としたものである。
図4に示されているように,女子は,3年から6年まで平均して歌唱に対して好意を抱いているが,男子は高学年になるにしたがって,明らかに歌唱の学習への意欲が低くなっている。この傾向について次のグラフで分析してみたい。
男子は,3年で20%が“すきではない”と答え,この段階で9%ほどの児童はすでに,“ぜんぜんすきではない”と歌唱学習ばなれの傾向を示している。児童の声変わり,いわゆる変声期をむかえたことによる声をだすことの不安は,3年の男子にはまだまだ関係のないことと思われる。従って,これ以外に要因があると考えなくてはならない。
女子は,3年では,わずか1%だけ,“ぜんぜんすきではない”と答えている。この度の調査では,985名の女子についてその反応を調べてみたが,3年に限らず,4,5,6年とも歌唱について,“すきでない”と答えた児.童が少なかったことは,この分野の学習効果の表れと思われる。
図4,図5には表れていない“ふつうです”と答えた児童は,男女とも35%〜40%ほどで,学年別,男女別にみても大きな差はでていない。
問4 あなたは,音楽の時間に友だちの前で大きな声で歌うことができますか。 (1) 結果
表4:友だちの前で歌うこと
(数字は%)
\ 学年 項目 \ 3年 4年 5年 6年 男 女 男 女 男 女 男 女 できます 49.0 59.4 37.0 36.8 31.4 36.8 29.2 33.1 できません 51.0 40.6 63.0 63.2 68.6 63.2 70.8 66.9