研究紀要第52号 「教育課程の実施に関する研究」 -024/090page
(2) 考察
この項は,児童は,本来大きな声で友だちの前で歌うことによって,自己を主張し,表現することを好むものであるという,成長の動機をもっているとの認識に立って調査することを目的としたものである。
3年は,男女とも半数が,“できる”と答えている。4年では,男女とも37%と落ちてしまう。そして5年,6年では,30%前後になってしまうが,これまでの項目で表れたように,高学年になると極端に低くなってしまうことはない。このことは,他教科の表現による学習活動の意識調査の結果を参考にして比較してみても,おおよそ,この状態に近いものと考える。
それでは,“できない”と答えた児童の,その主なる理由は何であるか。次の設問をもとに分析をしてみた。
問5 あなたは,音楽の時間に友だちの前で大きな声で歌うことができません,と答えました。そのわけを述べてください。 (1) 結果
(2) 考察
これは,“できない”と答えた児童の主な理由について,大きな割合を占めたものを表した。“恥ずかしい”,“自信がない”とする理由が大変多く,全学年を通し,男女とも“恥ずかしい”を第一の理由にあげている。男子はとくに.4年,5年で50%と高い。女子は,全学年とも60%ほどが"恥ずかしい"と答えて,歌唱の意欲的な表現に対して消極的な態度を示しているようである。
問6 あなたは,自分の声は,いい声だと恩いますか。 (1) 結果
表5:自分の声に対する意識
(数字は%)
\ 学年 項目 \ 3年 4年 5年 6年 男 女 男 女 男 女 男 女 たいへんいい声だと思います 9.8 6.3 4.4 8.3 4.7 1.6 5.6 1.7 すこしいい声だと思います 14.6 20.5 11.0 11.4 11.2 12.7 8.0 7.1 ふつうの声だと思います 41.9 52.3 46.6 50.8 40.3 54.0 35.1 55.0 あまりいい声とは思いません 20.3 18.8 21.0 21.7 27.0 26.1 32.4 27.9 ぜんぜんいい声とは思いません 13.4 2.1 17.0 7.8 16.8 5.6 18.9 8.3 (2) 考察
この項は,音楽学習の中で歌唱について,自分の声に対する意識と歌唱の学習への興味・関心は,どのようなかかわりがあるかを調べることを目的としたものである。
この度のアンケート調査では,一般的傾向として,各設問において学年が進むごとに好ましいと思われるパーセントが減っている。そして,それは男子において顕著にみられる。男女を比較した場合,どの項目でも女子が常に男子より関心度が高い。ところが,“いい声だと思う”と答えた3年の男女25%ほどが,