研究紀要第52号 「教育課程の実施に関する研究」 -026/090page

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のは,このことのみを取りだして学習することがないためであろうか。

女子は,“すこし知っている”“よく知っている”を合わせると,おおよそ60%前後の大きな割合を示している。本来,“歌唱は好き”と答えている児童が多いことは,表3からも知ることはできるが,発声法についてもほぼ同じような関心と知識を持っていることが理解できる。

男子50%〜60%,女子35%〜40%ほどが,“知らない”と答えており,この割合をできるだけ小さいものに変容させたいものと考える。

それでは,美しい声のだしかた(発声法)を,“ぜんぜん知りません”と答えた児童は,発声法を知らないために,果たして,歌唱が好きでないと答えているのか。次のグラフは,発声法を“ぜんぜん知りません”と答えている児童のうち,“歌うことは好きです”と答えている割合を示したものである。

図9:発声法を知らなくて歌唱が好きな児童
図9:発声法を知らなくて歌唱が好きな児童

男子3年24%,4年23%,5年16%としだいに好きな児童が少なくなっている。そして,6年では5%とほとんど歌唱に対しては意欲をなくしている。もし,発声法を知らないために,美しい声をだす自信がなく,その結果として歌唱を避けることがあるとすれば,その方法について,児童一人一人の発達段階を考慮しながら理解させたい。

女子は,3年36%から4年40%,5年41%と高くなり,6年では更に46%と増して,発声法は知らなくても歌唱は好きになる傾向を示している。

問8 あなたは,声がわりになっていると思いますか。

(1) 結果

表7:声がわりについて
(数字は%)
学年
項目
3年 4年 5年 6年
声がかすれたり高い声がだしにくいので,いま声がわりになっていると思います 5.6 5.2 6.9 8.0 11.3 2.8 14.7 4.8
まだ声がわりにはなっっていないと思います 47.8 47.0 41.5 42.2 27.9 38.3 42.9 54.2
もう声がわりは,おわって大人の声になってきたと思います 3.5 0.8 2.3 1.9 2.9 1.0 3.0 2.0
声がわりのことは,自分ではよくわかりません 43.1 47.0 49.3 47.9 57.9 57.9 39.4 39.0

(2) 考察

声変わりは,個人差や男女差はあっても,成長過程では避けることはできないものである。男子の声変わりは,13〜15歳,女子は1年程早く12〜14歳ぐらいといわれる。この項は児童は,自分の声の変化をどの程度感じているか調査することを目的としたものである。

男子は,3年ですでに5%ほど“声変わりになっている”と答えている。5年では11%,6年で15%と3倍に増える。

女子は,4年で8%,5年では3%となり,3年と6年は5%となっている。学年が進み,心身の成長にともなって,声変わりは当然増加すると思うが,この調査では,それがまちまちである。あるいは,児童にとって声変わりについての知識がなかったのかもしれない。声変わりは,おわって大人の声になったとする児童は,学年を通して男女とも少数ではあるが答えており,しかも,3年が最も多いとなると,児童にとっては難かしい設問であったのかもしれない。ただし,自分の声の変化をまだ感じていない児童と声変わりのことはよくわからないとする児童を合わせると,全学年について男女とも90%程度である。

次の図10は,変声期中であると答えた,男子


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