研究紀要第52号 「教育課程の実施に関する研究」 -031/090page
合唱が楽しくなる動機づけともなるものである。
[7] 4度の下行音程である。二分音符を美しく響かせることが大切である。そして,声が切れてしまうことなく,四分音符に移行する。このとき,地声で低い声を出さないように注意する。いわゆるレガートで歌わせることが,頭声的発声を知る手がかりとなるものである。
[8] 呼吸法について注意するところである。ブレスの記号があって,素早く,しかも上手に呼吸をして,4拍目“かず”を歌いだすことが望まれる。3拍目“も”は,しっかりと歌いおさめることが重要である。児童によっては,“も”は短かく,スタッカートぎみになりやすい。その原因として考えられることは,ブレスの仕方が身についていなくて,なおかつ,遅くならないようにしようと必死になるためであろう。
[9] 自然で,ゆったりとした呼吸を行うところである。じゅうぶんに支えられた吸気を,次の音楽のクライマックスに向い,豊かな響きと,声量で心ゆくまでに表現するエネルギーに高めようと,心構えを持つところである。
[10] “もみじ”を歌うなかで,曲の山として感じるところである。美しく,雄大で,しかも3度の和音によって美しく豊かに表現される。ここでは発音,発声,ハーモニーを取り出して学習するところでもある。低音部は充実した響きによって支えることが大切である。そして,“かえでやつたは”に,心のたかまりを更に高めて行くことこそ,音楽性を豊かにする下地がわくものと思われる。
[11] この歌の最高音である。“かえでや”の“か”の音を豊かに響かせるためには,安定した呼吸法による共鳴がほしい。時として,最高音にばかり気がいきすぎて,その前後の声が不安定になるので注意したいものである。“え”の音色,音量はよく響く声で無理なく伸び伸びと歌うことでありレガートな表現がほしい。なお,発声練習などを行うときは,この部分の下行の旋律を利用して,音域を考慮しながら,力みのない,美しく響く声を工夫させることが望ましい。リズムは,教師が児童の実態に合わせ,即興的に示すのが良いと考える。