研究紀要第52号 「教育課程の実施に関する研究」 -076/090page

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指導の進め方を明らかにするものである。全体計画は,部門別計画に一つの志向性を与え,その部門別間のバランスをとる機能を果たすものである。結局,部門別計画は,その学校の生徒指導全体計画の基本的な構えを受けて生徒指導の目標の具現化を図るものであろう。

[5] 全体計画は全教師の共通理解を深め,一貫した指導を進めるために必要である。

すべての教師は,生徒指導について自己の役割と分担を自覚し,共通理解に立って生徒指導を進めなければならない。全体計画は,その共通のねらいを明確化し,指導を推進するための構想を示すものである。今の学校は,教師間の連携なしには,生徒指導の効果があがらないことは,周知のとおりである。

[6] 転入・新任教師は,その学校の全体計画を早急に理解して同一歩調で指導に当たる。

転入・新任教師に,早期にその学校の全体計画を示し,研修に当たらせることは,学校の経営上からも望ましいことである。

このように,教師全員が全体計画について共通理解を深め,一貫性のある指導を進めることは,極めて重要なことであろう。

(4) 生徒指導全体計画の構想

全体計画は,その学校の実態に応じて,独自なものを作成することになる。しかし,全体計画としての大体のパターンは決まっているのでここでは,「生徒指導の進め方」に即して,全体計画の内容を考慮しながら図示してみよう。

図1:全体計画構想図
図1:全体計画構想図(福島県教育委員会「生徒指導の進め方」一部修正使用)

生徒指導が,教育の機能として意図的に行われるためには,広範な教育活動において「いつ,どこで,どのように」指導を行うかについて,具体的な構想が必要である。それが,全体計画の構想である。したがって,その構想が求める項目は,次のようになるであろう。

○地域や生徒の実態の把握
○生徒指導の目標設定
○生徒指導の基本方針の設定
○生徒指導の重点目標の設定
○学年別重点目標の設定
○教育課程の領域及び教育課程外の領域の場と機会における生徒指導の役割の明確化
○生徒指導の繊畿と運営の充実

(5) 全体計画作成の手順

先の全体計画作成の手順を,教師の全員参加の視点から分析した結果,一部の教師による計画では共通理解が得られないという考察をした。したがって,数項目にわたる作成の手順について,その視点から改善点を述べていきたい。この改善点が同時に全体計画作成の基本方針や留


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