研究紀要第52号 「教育課程の実施に関する研究」 -077/090page

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意点にオーバーラップするように記述していきたい。したがって,中学校の場合は全体計画改善の視点として,高等学校の場合は全体計画作成のポイントとして受け取っていただきたい。

[1] 地域や生徒の実態(問題)を的確に把握する。

そのためには,教師の観察にとどまらず,調査や検査を実施して,できるだけ客観的資料を収集することによって,ばくぜんとしていた生徒の問題点が浮きぼりにされてくる。また,この調査や検査等の実施過程で,教師の生徒指導に対する関心をひき起こし,教師間の共通理解の糸口がつかめてくることになるであろう。この段階から,生徒指導の役割分担を決めて,全教師の生徒指導への参加の姿勢をつくるようにしたいものである。

[2] 生徒指導の目標を設定する。

生徒指導の目標は,学校の教育目標,教師の願い,父母の願い,地域学校の実態などから,自校における望ましい生徒像はなにかを検討し、その強調点を明らかにして設定することが必要であろう。

特に留意すべきことは,全教師の参加によって全教師の納得がいく形で設定することである。生徒指導の目標設定に当たって,合理的プロセスを重視するかどうかは,その後の共通理解に大きくかかわってくる。命令されたものでなく,自己の主体性から,どうしてもこれだけは目標として掲げたいという気持ちが,生徒指導の原動力になるのではないか。

また,生徒指導の目標は広遠な理想を追うのも必要と思うが,何をさしおいてもこのことはという当面する課題をふまえて目標をとらえ,生徒も理解でき,しかも実践できるという目標が望ましい。

[3] 生徒指導の基本方針を設定する。

生徒指導の基本方針は,生徒指導に対する方向づけや基本的な姿勢を示すもので,全体計画には重要な役割を果たすものである。これは,生徒指導の目標をふまえたものであるから,その目標を具現化するために,どのような態度で.どのような方法で,何を指導しようとしているかを明らかにするものである。

この事項については,中学校の例は適切な設定内容になっていたと思われる。ただ,ここにおいても,教師の意見を十分に聴取し,討議を重ねて設定することは教師の学校経営参加の面から欠かせないところであろう。具体的にどのようなものをあげるかは,表9を参照していただきたい。

[4] 生徒指導の重点目標の設定

必要十分な資料をもとにして,生徒の実態をおさえて,教師全員の協議によって,学校としての重点目標を設定する。目標分析の手法を取り入れて重点目標を設定するのであるが,この場合もやはり,そのプロセスを尊重して,共通理解をはかることは欠かせないところである。

重点目標の内容について,前述したところであるが,もっと身近な実現可能な内容にしたいものである。「人間的ふれあい」とか,「脳みの解決」とか,生徒の心の中に入って重点目標を設定してはどうだろうか。生徒も教師とともに努力したくなるようなものを見つける努力がほしいと思われる。ところで,教師自身の重点目標としては,高等学校の場合は「教育相談」,「生徒理解」,「家庭との連携」,「個別指導」等をあげている。これに対し,中学校の重点目標には,あまりとりあげられていないようである。現在の中学校の生徒指導上の問題を考えるとき,一考する必要があるのではなかろうか。

ここで,重点目標設定上の留意点をまとめてみる。

各種の望ましい内容を盛り込みすぎ,実践不可能なものにしないよう配慮する。
形式的なものでなく,指導の基本的なよりどころとして共通理解が図られるものにする。
従来,重点目標はおさえつけ的指導の重点に偏りがちだったので,楽しく自己実現を目指すようなものにする。
具体的生徒像をおさえた重点目標にする。
重点目標として,


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