研究紀要第52号 「教育課程の実施に関する研究」 -080/090page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

(ウ) 学習活動に機能する生徒指導

予習や復習のための計画の立て方
辞書類や参考書,学用品や文房具などの選び方や使い方
図書館や資料室,実験室などの利用の方法

すべての教科担任の教師は,(ア),(イ),(ウ)のことを十分に理解し,ホームルーム担任(学級担任)の教師とも密接な連絡をとり,生徒の全人的な人間形成というねらいの達成を目指して,各教科・科目における生徒指導の実践に努めなければならない。

上記(ア)以下の記述によって,教科・科目において「だれが,いつ,どこで,どのように」生徒指導をすすめなければならないか,ということが明瞭になるであろう。

次に,上記(ア)における生徒指導について,いくつか例をあげて生徒指導との関係を述べてみたい。

エ.習熟度別学習,わかる授業等と生徒指導

習熟度別学習とかわかる授業の推進は一人一人を生かす生徒指導からの発想であることは,前記のウの項で明らかである。したがって習熟度別学習,わかる授業の推進は,極端ないい方になるが,そのまま生徒指導の研究といってもよいであろう。それをふまえて全体計画を立てると,計画はより具体的なイメージのもとで作成されるであろう。

そこで,これらの推進はどのような点で生徒指導とかかわっているか,考察してみたい。

○ 習熟度別学習と生徒指導


習熟度別学習は,個を生かす教育の実現のための方法で,極めて生徒指導的発想に立っものである。

図3は,習熟度別学習を進めるために,目標分析をして下位行動目標を洗い出し,難易・学習体験・学習順序等によって段階化し,それに対応する形成的評価問題を作成したものである。そして,学習に当たっては,ステップを踏んで上位目標に進み,つまずいた場合は,フィードバックできるようにし,習熟度別学習が弾力的に機能し,生徒の学習意欲の向上をうながし,自己実現を図ることをねらいとしたものである。

また,図4は習熟度別学習を進める段階で,生徒指導の機能がどう働くか拾い出したものである。十分に整理されたものではないが,おおよそのイメージはつかめると思う。

図3:習熟度別学習による補正作用一例
図3:習熟度別学習による補正作用一例
(「数学I・英語Iにおける目標分析と形成的評価問題に関する研究」福島県教育センター)

○ 「わかる授業の実践」福島県教育委員会作成


「わかる授業」を構成する要素に生徒指導がどう機能するか,見てみよう。(図5参照)

右上の円1の部分が,主な生徒指導の役割の果たす分野である。その他,下段の円3の分野も陰に陽に「動機づけ,激励,称賛」等の生徒指導の機能が働いて,その効果をあげることができる。このように考えると,円4の「わかる授業」の成立には,学習指導と生徒指導がこん然となって機能している姿がうかがえるのである。

○ 自己実現を目指す国語の学習構造図


立花小学校長瀬川栄志氏が提言している自己実現を目指す国語学習について紹介しよう。(図6参照)
「授業は,単に知的にわかるだけでなく,変容する授業でありたい。さらに,変わるだけにとどまらず,できるという自信をもつまで到達したい。できる自信をもったとき,は


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。