研究紀要第54号 「教育課程の実施に関する研究」 -005/071page
源再生の意義を知らせ,ものを大切にすることの習慣を身につけさせることができる。
(10) 材料や用具の取り扱いについて適切な指導ができ,自信をもって実技指導に当たることができる。
・教師自らの手で教材を開発し,実技体験をすることによって,適切な指導助言ができるようになる。また,実技体験をすることで「切り出し小刀」や「肥後守小刀」「カッターナイフ」を機能別に使い分けて使用させたり,「のこぎり」など,その他の用具の特性を理解させ,正しく使用させることができる。(11) 児童のつまずきや困難とする点を予め予想して,適切な指導助言をすることができる。
・教師がそれぞれの教材について,実技体験をすることになるので,児童の表現の過程やその結果について,「どこにつまずき」「どこを困難と感じるか」など,より深い理解をすることができる。(12) 児童の表現傾向が理解しやすくなり,児童理解を深めることができる。
・教師が実技体験を通すことにより,予めさまざまな児童の表現を予想することができ児童の表現傾向が理解しやすくなる。(13) 達成目標や評価の観点が具体的になり,よりよい指導ができる。
・実技体験をすることにより,材料・用具の扱い方が理解され,また,製作に関する児童の心情がおしはかれるようになることから,達成目標や評価の観点がつかみやすくなる。
3. 身近な材料の教材化
児童たちは,一度自分の創造の目を身近な材料に向ける機会があれば,身のまわりの多くの材料は,児童に興味と関心を与えて,限りなく夢を広げる対象と成り得ると思われる。
表−1:地域に合った主な材料例
そのために,身近な材料を教材とするには次のような方法が考えられる。
例えば,「夢の形(オブジェ)」という題材を設定し,表−1のように地域に合った材料の中から指導目標をよりよく達成できるものを選択し,教材として取り上げる方法も考えられよう。
また,同じ材料を教材として,生かし方の角度を変えて,1年から6年までの教材として活用することを考えることも一つの方法であろう。つまり,学年的段階に即応した,教材及び加工技法についての系統性を考慮し,適切な教材を設定し,経験させたいものである。
以下,後に示した活用の方法を生かしながら,どの地域にも比較的共通して身近にある材料の活用例を示したのが,表−2である。
その内容は,主として工作の領域を意図したものであるが,絵画的要素を取り入れて扱うことやデザイン領域との十分な関連を計った鐵オの取り扱い,また,彫塑的な見方,考え方を育てる扱いもできよう。
なお,身近な材料の教材化に当たっては,題材のおもしろさだけ追求することなく,学習指導要領に示されているねらいに合わせ,しかも,題材名は児童に親しみやすいものとしておろすことが大切であると考える。
地 域 主な材料例 ま ち ・機械の部品・あきかん・あき箱・くずれたコンクリートブロックなど 河川・海辺 ・流木・小石・貝殻・朽ち木など む ら ・木の枝・木の根・まゆ・植物の茎・木の実・わらなど 河川・海辺 ・流木・小石・貝殻・朽ち木など