研究紀要第54号 「教育課程の実施に関する研究」 -036/071page
(3) 古典的方法による円周率の計算
例3 円に内接および外接する正多角形の周で,円を上下からはさみつけることによって,円周率の近似値を求める。 [ ねらい ]
生徒たちが,小学校時代から親しんできた円周率が,本当に3.14・・・であることを,生徒自らの手で確かめさせたい。さらに,この計算を通して,漸化式表現(帰納的定義)の有効さを理解させたい。
「基礎解析」で「数列」の学習が一通り終えたところで,学習するのに適切な内容と思われる。[ アルゴリズム ]
半径1の円に内接および外接する正2 n+1 角形の周の長さをそれぞれ2 ,2 とすると,次の不等式が成り立つ。< π < Ln
ここで, { } は単調増加, { Ln } は単調減少であり,また, n → ∞ のとき Ln → → 0 であるから,nを大きくしていき,それに対応する ,Lnの値を求めることによって,π の近似値を求めることができる。図3において,半径1の円に内接および外接する正 n 角形の一辺をそれぞれ 2a,2b とし,内接および外接する正2n 角形の一辺を 2a',2b' とする。