研究紀要第54号 「教育課程の実施に関する研究」 -064/071page

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における指導の場面を考え,教材研究をもとに自作したTPは,内容面で市販TPを上まわるということである。


(8) OHPに関する研修

 OHPを効果的に活用できない理由の一つにOHPの使い方やTP製作についての研修を受けたことがあるかどうかが考えられる。
 OHPなどの教育機器活用の技量は,教職経験年数とは必ずしも比例しないものである。興味・関心・意欲のほかに,研修の有無が左右すると考え,自己研修以外の研修の有無を調べてみた。

設問8  OHPに関する研修
 あなたは,自己研修以外に,OHPに関する研修を受けたことがありますか。その研修は,どこが主催でしたか。

<表14> OHPに関する研修
             項目

  学校

 受 け た  受 け な い
小 学 校 80.1% 19.9%
中 学 校 53.4% 46.6%

<表15> 受けた研修の主催者
                  学校

  主催

小 学 校 中 学 校
福島県教育センター 29.6% 31.1%
教育庁・教育事務所 22.6% 23.5%
市町村教育委員会 34.6% 31.8%
その他(校内研修等) 13.2% 13.6%

[ 考察 ]
 研修を受けたことのある先生は,小学校で80%中学校で53%で,小学校の先生の割合が高い。
 研修の有無の割合は,小学校と中学校で違うが受けた研修の主催者は,大変よく似ている。
 小学校・中学校とも,研修を受けた人の約30%が,当教育センターの研修を受けていることになる。これは,アンケート調査者の人数と比較した場合,小学校で4人に1人,中学校では6人に1人の割合である。
 なお,当教育センターでは,3泊4日を単位とした研修を,小学校・中学校の先生方を対象に,年6回(小学校延80人,中学校延90人)実施している。主催団体はどこでもかまわないが,県全体で,研修内容の充実,研修の機会を増やすことを考えていかなければならないと考える。


(9)  OHP活用上の困難点

 OHPを活用してもらうためには,活用できない原因を明確にする必要がある。その解決策を考えれば,活用度を高めることができると考え,OHP活用上の困難点を調べてみた。

設問9  OHP活用上の困難点
 授業におけるOHPの活用で,困っていることはどんなことですか。あてはまるものを三つ以内選び,○をつけてください。

<表16> OHP活用上の困難点
                  学校

  項目

小 学 校 中 学 校
OHP不足で使えない 11.1% 13.9%
TP製作の時間不足 75.9% 53.4%
台数はあるが故障している 3.1% 17.9%
活用法・製作法を知らない 13.0% 8.1%
TP製作の道具・材料不足 30.2% 23.3%
校内の共同研究が少ない 8.0% 8.5%
指導過程への位置づけ不明 9.3% 3.1%
機器の操作や移動が困難 8.6% 9.9%
適切な教材(TP)がない 19.8% 17.5%
教育効果が期待できない 2.5% 4.9%
その他 3.1% 11.2%

[ 考察 ]
 小学校,中学校とも,困難点の第一位に,TP製作の時間不足をあげている。小学校では75%,中学校では53%である。
 第二位には,これも小学校・中学校とも,TP製作の道具・材料の不足をあげている。
 以下,適切な教材(TP)がない,活用法を知らない,台数の不足がつづいている。
 これらの困難点を具体的に解決する手だてを講じていかないかぎり,OHPの効果的な活用,ひいては,一人一人を生かす指導・わかる授業の創造はないものと考えられる。


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