研究紀要第54号 「教育課程の実施に関する研究」 -065/071page
4. 調査結果の集約
OHPを効果的に活用するための方途をさぐるため,各設問からの問題点をまとめ,その解決のための課題を考えてみた。
設問 問題点 課題 1.教育機器の利用状況 1.OHPの利用度は高いが,OHPに片寄りすぎているきらいがある。 2.16ミリ映写機の利用がフィルムの充実に割合には少ない。
3.VTR・スライド映写機など,特性を応じた機器の活用が少ない。
1.OHPだけでなく学習のねらいに応じ,他の機器の活用を考える。 2.OHPに関する関心 1.OHPに関心をもつ先生方は多いが,授業の際のOHPの活用に結びついていない。 2.OHPについての関心を,授業での積極的な結びつける。 3.OHPの保有台数 1・学級数に対する保有率は,小規模校が高く,中・大規模校は低い。 2.学級数の6割以上を,最低設置数量と考えないと不便な場合もある。
3.常に整備点検し,いつでも使用可能な状態にしておく必要がある。
3.OHPの購入だけでなく,現有備品の整備・修理で使用可能にする。 4.OHPの利用状況 1.年数回から月1〜2回が大部分で,利用状況は必ずしもよくない。 2.中学校には,全く使用しない先生が16%もいる。
3.教科によって利用状況に片寄りがみられる。
4.利用状況が低いので,教科の特質に応じた使用法を工夫する。 5.OHP利用のねらい 1.知識の理解にのみ使用せず,共同思考にも活用したい。 2.教科中心の使用が多いので,道徳・特別活動などにも活用したい。
3.教師だけの利用でなく,児童生徒にも利用させ,自ら学ぶ学習を進めていきたい。
5.知識理解・教科中心・教師中心の使用から,他領域・児童生徒の活用などに広げていく。 6.市販TPの在庫量 1.市販TPの在庫量が不足している。 2.市販TPの不足が,製作時間の不足と相まって,OHP活用の阻害要因になっている。
6.市販TPの不足もわかるが,現有TPの活用をはかりたい。 7.授業で利用するTPの種類 1.自作TP使用の割合が高いのに,製作時間の確保が容易でない。 2.市販TPの効果的な活用がなされていない。
3.道具・材料の不足で,TP自作が困難である。
7.TPの自作を基本に,効果的な活用の面からも市販TPの併用などについて見当する。 8.OHPに関する研修 1.中学校の先生方の研修の機会が少ない。 2.研修は,講義だけでなく,TP製作の実習を含めたものが望ましい。
3.研修受講者は,自分だけのものにせず,伝達し,広く普及させたい。
8.研修機会の増大とともに,研修者による不朽伝達に力を入れる。 9.OHP活用上の困難点 1.TP製作の時間,道具・材料の不足、OHPの台数不足,故障,操作,移動が困難など,使用のための前提条件の整備・充実に欠ける。 2.TP製作の技法がまだ広く知られていない。
3.指導過程への位置づけなど,活用法の研究を深めていく必要がある。
9.製作時間,道具・材料などの確保とともに,研修や授業への位置づけの研究を深めていく。