研究紀要第54号 「教育課程の実施に関する研究」 -067/071page

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 最後は教師の意識の問題である。活用の阻害要因となるものは,教育観や教材観の違いによる,教育機器を用いなくても効果をあげることができるという考え方である。さらに,機器を使用したことがない場合や少ない場合には,「めんどうだ」「おっくうだ」が先にきて使わないことが多い。教師個人の問題も多いが,学校全体としての取り組みも大切である。


(4) OHP使用上の問題点

 OHPを使用するうえでの問題点はたくさんあるが,次の三点について述べてみる。
  ○ 教科中心の使用になっている。
  ○ 指導過程への位置づけが明確でない。
  ○ 教師中心の使用になりがちである。
 第一の問題点であるが,OHPは特定の教科や領域のみで使用するものでなく,あらゆる教科や領域で使用が可能である。
 各教科や道徳・特別活動などにおいての効果的な活用の実践例が報告されているので,それらに学ぶ必要がある。
 学習指導の段階に応じたOHPの使用としては,一般的に導入・展開・終未(まとめ)の三段階が考えられる。各段階のねらいとしては,次のようなことがあげられる。

○導入段階のねらい
 ・学習の目標を明確にする
 ・学習のレディネスをそろえる
 ・学習活動の動機づけをする

○展開段階のねらい
 ・解決の手がかりや資料を提示する
 ・学習内容の理解や思考を促進する
 ・学習活動の指示をする
 ・児童生徒の発表に用いる
 ・評価問題を提示する
 ・フィードバックに用いる

○まとめ段階のねらい
 ・学習内容の再確認に用いる
 ・学習内容を定着させる
 ・次時への発展に用いる

 以上,各段階の基本的なねらいをあげたが,児童生徒の実態をもとに使用した活用例の開発が望まれる。
 最後に,OHPの使用者について述べてみる。学習は,児童生徒が自主的・主体的に取り組んではじめて「わかる授業」,「できる授業」に結びつくものである。OHPは,構造も操作もきわめて簡単であり,専門的な知識や技術を必要としない。小学校の低学年においても,OHPを利用した多彩な学習活動が可能であり,児童生徒の参加による学習活動は,学習意欲を高めるとともに,教師中心の授業から児童生徒中心の授業へと,質的転換をはかってくれるものである。


(5) 授業で使用するTP

 授業で使用するTPに関して,次の三点について述べてみる。
  ○ TPの整理・保管
  ○ 市販TPの整備
  ○ 自作TPの意義
 TPの整理・保管についてであるが,TPには,その教師にしか使用できない個性的なもの,ある授業の時だけしか使わないものがある。一方,何度も繰り返し使ったり,校内で共用するものもある。
 後者の場合は,校内で整理・保管し,「だれでも,いつでも,使いたい時に使える」ようにしておきたい。教材を豊富にすると同時に,製作の労力を省くことができる。
 共有TPを散逸したり,汚したりしないように,教科別,学年別など工夫した方法により,分類・整理・保管するとよい。そのためのポイントには,次のようなことがある。
  ・ 分類・整理のための記号や方法の統一
  ・ TP目録の作成,指導計画の資料欄への位置づけ
  ・ 利用しやすい場所への保管
  ・ 保管責任者の明確化と利用システムの周知徹底
 次に市販TPについてであるが,自作TPは授業を進めるうえで,市販TPをしのぐよさを


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