研究紀要第55号 「学校経営改善に関する研究 第3年次」 -003/089page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

II 研 究 の 構 想

1 教育課程経営の課題

 教育現場における教育課程経営の実際に目を向けた時,いろいろの実践上の問題点が考えられるが,本研究では,それらの問題点をマネージメント・サイクルの考え方にたって次の三つの課題に整理して研究を進めてきた。

(1) 動態的にとらえる教育課程の経営
 教育課程の展開を編成−計画,実施,評価と部分的,断片的にとらえる静態的な考え方から,計画−実施−評価−計画改善へと,円環的に発展する全体的・相互関連的にとらえる動態的な考え方へ発想の転換を図る必要がある。

(2) 教育課程評価用具の開発
 教育課程を経営的発想に基づき動態的に見た場合,最終的に一番問題になるのは,評価より次年度の計画改善に至る過程であり,教育課程評価の構想確立と,そのための具体的な評価方法である。即ち,教育課程改善に結びつく客観的な資料収集のための評価用具の開発が望まれるのである。

(3) 教職員の経営参加
 教育課程の経営が,実際にその機能を発揮するためには,単に,教育課程の内容や具体的な個々の教育活動の問題にとどまるものではなく,それを支える学校経営上の諸活動の機能も重視しなければならない。即ち,教育課程がマネージメント・サイクルの経営過程として円環的に流れるためには,教職員の意思決定,協働意欲など人的条件への配慮や、組織・運営の改善も大切な要因となってくる。教育課程経営のための教職員の主体的な経営参加が強く求められる理由もここにある。


2 研究の視点

 前に述べた三つの課題は,本研究にかかわる中心的な課題である。したがって,本研究の方向性を確立し,3年間にわたる研究を意図的・計画的に進めるために,これらの三つの課題に対して,課題解決のための基本的な考え方として,次に述べるような研究の視点を設定した。

(1) 動態的な教育課程経営
○学校経営現代化の方向に従って教育課程経営をとらえようとするならば,学校教育本来の目的を効果的に達成するための教育活動や教育的機能により焦点を当て,それを支援促進する経営活動や経営的機能を相互関連のもとに統合的にとらえることが大切である。
○学校経営がP-D-Sの経営過程に即して経営的機能が発揮されなければならないというマネージメント・サイクルの考え方を中核とする動態説の立場をとるならば,教育課程経営もまた動態的な経営観にたって見直そうとする発想の転換が必要である。

(2) 教育課程評柵用具の開発
○教育課程の評価は,教育課程経営すべてにかかわる評価ではあるが,最終的には学校の教育目標との因果関係においてとらえられなければならない。即ち,学校の教育目標具現化という観点に立って教育課程−教育計画をとらえ,評価により改善・充実を図り,学校の教育目標達成にいかに迫るかということを問題にされなければならない。
○教育課程の評価は,評価の対象・領域・内容を意図的にPDSの経営過程に位置づけて行えば,動態的な教育課程経宮に合致した評価となる。また,教育課程経営全体について


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。