研究紀要第55号 「学校経営改善に関する研究 第3年次」 -006/089page
III 研 究 の 基 盤
1 学校経営と教育課程経営
教育課程の経営に関する理論を構築するに当たっては,初めに,学校経営の概念や機能を明確にとらえることが大切である。このためには,基本となる事項として,次の三つをおさえた。
○学校経営現代化の方向にそった学校経営の概念を杷握すること。
○学校経営を構造的に把握すること。
○学校経営における教育課程経営の位置づけを把握すること。これらの把握を的確にすることによって,学校経営の中核としての教育課程経営の基本的な考え方及び本研究の方向性が明確になるものと思われるので,それらについて述べることにする。
(1) 学校経営の概念把握の視点
学校経営とは,一般的に,学校の教育目標を効果的に達成するために,学校の組織・運営を適切に維持し展開させていく統括作用であると言われているが,その概念を,学校経営現代化の方向にそって考えようとするならば,次の二つの点が重視されよう。○学校経営を,学校教育本来の目的を効果的に達成するための教育活働や教育的機能に焦点を当てた見方をすること。
○学校経営を,マネージメント・サイクルの経営過程に即して経営的機能が発揮される動態的な経営観に立った見方をすること。(2) 学校経営機能の構造的把握
一つは,一般に目標系列としておさえられているもので,学校における教職員の専門的な活動の中心となる教育活動の系列である。教育目標を一人一人の子どもに具現化するため,教育課程に沿って展開される教授一学習の過程としてとらえられる一連の教育目標達成の系列で,学校教育本来の目的を達成するための教育的機能を持っており,教育課程経営は,この目標系列の機能発揮のための営みであるとも言える。
前述のような学校経営観にたって,学校経営の機能をとらえた場合,原実氏が述べているように,次のような二つの系列に統合できると考えられる。 (図1 参照)
もう一つは,条件系列としておさえられているもので,目標系列に属する教育活動が効果的に機能するように支援促進させる経営の4要素にかかわる系列である。すなわち,教員(人−men), 施設・設備や教材・教具(物−materials), 予算(財−money),それに,この三つを組織的に運営するマネージメント(運営−manage-ment)の4Mの条件整備と操作に関する系列で,目標系列を支え,学校の組織・運営を維持発展させるための経営的機能である。
学校経営とは.上図に示すように,この目標系列と条件系列の二つをより機能的に結び付けながら目標系列の働きを推進していく営みであるとも言われ,両系列の矢印を経営の実際においてどう結ぶかが問われるところである。
この二つの系列を相互の関連においてとらえることが,動態的な経営を通した学校教育の現代化