研究紀要第55号 「学校経営改善に関する研究 第3年次」 -008/089page
1.教育課程の管理
著者 牧 昌見 下村 哲夫 伊藤 和衛 著作 県教育庁義務教育課編
「学校教育の
手引−新版」「現代学校経営 用語用典」
「現代の学校経営− その計画と実践」
「教育課程の目標管理」 内
容
教育課程を管理するということは, 教育課程の編成,実施,評価改善という一連の活動 が,適切かつ効果的に行われるよう配慮し,必要な手立てを講ずることをいう。
教育課程の管理とは,学校における指導計画を効果あらしめるための諸条件の整備とその運営をいう。 学校が教育指導を展開するに当って, 教育課程の編成,実施,評価の一連のサイクルが有効に働くこと。 もっとも重要である。このサイクルを効率的・能率的に働かすことが管理である。
教育課程は編成の段階の計画管理,その計画が予定どおりに進行しているかどうかをチェックする実施管理,そして,計画に掲げた目標に照らして評価する評価管理の三段階が考えられる。そして この計画−実施−評価は一つのマネージメント・サイクルとしてとらえなければならない。
教育課程の管理は, その計画管理,実施段階における授業管理,そして評価管理が近代管理としてのマネージメント・サイクルに合致していなければならない。 マネージメント・サイクルで動くということは,教育という仕事の連続的な流れとしてとらえるということである。
2.教育課程の経営
著者 小林 信郎 安彦 忠彦 高野 桂一 村井 実 著作 現代学校経営講座
第5巻
「教育課程経営の拡充」教育学講座 第7巻
「教育課程の経営と評価」学校経営の科学
第3巻
「経営過程論」学校経営の課題と解明 第1巻
「教育課程・生活指導」内
容
教育課程の経営は,具体的には,目標が確実に達成できるよう 計画化する,実際にこれを展開する,その効果を評価して次の活動をどう計画するか判断する, という時間的な流れの中での基本的な三つのサイクルのうえに成立していくものである。この三つのサイクルの間に断層や断絶がなく連動,循環して目標に近づいていく体制づくりが重要課題となる。 教育課程経営は,学校経営諸活動の中で最も重要な意義をもち,これを教師の側から主体的にとらえ直すとすれば次のようになる。 まず,教育課程を具体化しする個々の活動として教師は教育目標にてらして,何を,どう教えるかを 計画し実施し評価し改善し,また新たに計画し・・・という活動のサイクルを繰返す ことになる。
教育課程の経営においては,大きく分けて,1.教育課程の計画(編成)管理→2.実施管理→3.評価管理の三つのプロセス(段階または局面)が考えられる。それは トータルシステムとしての学校経営過程が計画−実施−評価の過程構造をもつことが,サブ・システムとしての教育課程の経営過程に投影された姿とみてよい。
教育課程の編成実施については,指導要領の基準にたちながらも,「地域や学校の実態及び児童(生徒)の心身の発達段階と特性を十分考慮して,適切な教育課程を編成する」により学校独自の教育展開を図ることになる。ここに,単に与えられたものでない。学校独自の教育糧の経営という考えが成り立つ。 これも学校経営と同様にP-D-Sのサイクルによって展開される。
上記の文献などにみられるように,教育課程の展開について,「管理」と「経営」の両者に共通するのは,教育課程の展開をマネージメント・サイクルの考え方でとらえていることである。そこで,本研究では,この管理と経営について,上述の諸説から,次の2点を明確におさえることにした。
○これからの教育課程の経営は,これまでの監督・監視という管理機能にのみ目が向けられてきた学校経営のあり方や,画一的な教育課程の管理から.教職員一人一人の主低的な経営参加に根ざす,創造的機能を十分に発揮した経営を重視する方向で考えていかなければならない。管理作用はその過程において,どのように調和的に働かせるかが問われることになる。
○計画(編成)された教育課程机実際に組織的活勤として、いわゆるマネージメント・サイクルに乗り,常により高次の目標を目指して,創造的活動が展開されているとき,教育課程を経営していると言えるのである。
したがって,本研究は,このような考え方に基づき,教育現場における教育課程経営の実際を追求していこうとするものである。