研究紀要第55号 「学校経営改善に関する研究 第3年次」 -009/089page

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(2) 教育課程経営の意義・機能
 教育課程経営の意義や機能については,前項の諸説で述べた内容をもって,明確に理論づけることは難しいが,学校経営現代化の視点から見直した教育課程経営の基本的な考え方の一つとしておさえることにする。

1.教育課程経営の意義
 学校教育の効果を高める教育課程の展開を期待するためには,教育課程を単なる編成=計画としておさえるだけでなく,編成・計画−実施・日々の授業−評価・反省−改善・次年度計画へと連続性のある経営過程に沿っておさえ、経営的発想で教育課程をとらえ直そうとする考えが必要である。
 このような考え方に基づくならば,教育課程経営の意義は,教育的機能の促進と動態的な経営観を重視する学校経営現代化の視点から,教育活動としての教育目標,教育課程,日々の授業を,計画−実施−評価の経営過程に即してとらえ直し,学校教育の中核として教育課程経営を位置づけて考えようとするところにある。

2.教育課程経営の機能
 教育目標,教育課程,日々の授業を計画−実施−評価の経営過程に即してとらえ直すことは,教育目標の実現を目指して展開される教育活動そのものを経営過程に沿ってとらえ直すことである。
 教育課程を単なる教育目標実現のための計画としてのみ取らず,それが効果的に展開されるよう日々の授業や教育活動がコントロールされ,その実効が発揮されるところに,教育課程絡営の働きがある。換言すれば,教育課程の経営は,常に教育目標を志向しながら.その具現化を目指して調整され,有機的な機能を発揮し得るような営みそのものと言うことができよう。
 原 実氏は教育課程の中核としての授業には,不可欠な様々な条件・機能が働き,かかわり合って成立しているとしながら。教育課程経営の機能について、次のように述べている。
 「授業の効果や学習の成立には,図4に示すように多くの要素がかかわり合っている。このかかわりは,日々繰り返される授業の一断面に過ぎず→や←の矢印は,時にはプラスに働いたり,マイナナスの作用をしている。・・・・(中略)・・・・一時間の授業でも,このように周辺の運営や組織機能の具体的かつ重要な働きの隘路,阻害点が考えられるとするならば,教育課程編成に力点を注いで作られた指導計画でもその実効は期待できない。この図4にみられるかかわりを診断し改善を求めるためには,図5のように, □印は組織部門, ○(ハセンマル)印は対人間関係, ●印は運営条件に関するもの,@印は目に見えない働きというように,整理分類して,その対策を講ずることが大切である。この営みこそ,教育課程の働きと言うことができる。」

図 4
図4 授業の効果や学習の成立

図 5
図5 授業の効果や学習の成立改善表

 このように,教育課程経営とは,学校経営のいろいろな要素や機能との相互関連を保ちながら,教育目標から授業に至る教育活動がマネージメント・サイクルの流れに乗って計画的,組織的に展開されると同時に,常にコントロールされて,教育的機能を発揮させることと言える。すなわち,教育活動と経営活動との有機的な関連により,教育課程をダイナミックなP-D-Sとしてとらえ


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