研究紀要第55号 「学校経営改善に関する研究 第3年次」 -016/089page
程の評価に基づく改善を日常的なものとし自校の教育課程に検討を加え,常に改善・充実を図ることが期待されるのである。
(2) 教育課程改善の要件
文部省,小学校指導書教育課程一般編の中で,教育課程改善に当たっての基本的な要件として,次の三点をあげている。○全教師が協力して組織的に進めること。
○計画を立てて積極的に進めること。
○客観的な評価の資料を収集して進めること。このことは,本研究の第1年次において論述した教育課程を経営的発想に基づく観点として取り上げた「組織化」,「計画化」,「調整化」及び第2年次の「教育課程評価票(試案)」作成の視点とも一致した考え方である。
なお,改善のための三つの要件について,本研究における考え方を次に述べる。1.全教師による組織的推進
教育課程の改善は,全教師がそれぞれの立場から協力し,組織的に進めないと形式的になりがちで実質的な効果は期待できない。それは教育課程が学校の教育目標達成のために総合的に組織された教育計画であり、全教師で計画の実践に取り組むべきものである。そのためには,各学校の実情に応じた全教師参加の組織体制を確立し,円滑な運営を図らなければならない。
教育課程の問題点の確認,改善方針や改善策の立案及びこの改善策の実現も,この組織の確立と運営の円滑化に基づく全教師の共通理解によって可能となるのである。2.計画的推進
教育課程の改善を全教師が協力して組織的に進めるためには,教育課程の改善の作業を年問言十画の中に位置づけて実施することが大切である。
学年末学期末,日常における評価の方法は異にする狐教育課程の改善という視点に立てばそのいずれも意図的・計画的に行わなければならない。
このように,教育課程評価・改善の場と機会を計画化しておくことは,教育課程の適切な実施と次の教育課程の編成には欠かすことのできないことである。3.客観的な評価資料の収集
教育課程の改善は思いつきや主観的な感想に基づいて行われるべきものではない。従来,教育現場において多く実施されてきた反省記録や話し合いによる評価も極めて的確で重要な意義をもつ内容も含まれていた。しかし,ややもすれば改善の視点が明らかにされず,実質的な改善に結びつかない傾向もあった。
したがって,教育課程の改善をより適正なものにするためには,できるだけ多面的で継続的な評価による客観的な資料をできるだけ多く収集する必要がある。この資料によってはじめて問題点の所在が明らかにされ,そこから改善の方途をさぐることが可能となる。
(3) 教育課程改善の着眼点
教育課程の編成・実施に比して,その評価と改善については,計画性に欠けるために組織的,継続的に行われない傾向にあることは,先にも問題点として指摘してきた。したがってここでは,改善を図るための計画的な推進のあり方について述べる。1.教育課程改善に対する教師の意識の高揚
教育課程の改善は,全教師が組織的に行う必要があり,そのためには,教師一人一人の意識を高め共通理解を深めることが大切である。
しかし,従来ややもすれば評価の組織体制は確立されていても,組織をとおしての改善方策の立案や実施過程における組織的な取り組みまでには至っていない。
また,共通理解を図るための全員による協議会,検討会は開催されていても,形式的,表面的な単なる話し合いにとどまっていることが多い。
この問題を解決するためには,教育課程の評価を実施する過程,評価結果を処理していく過程,改善すべき事項や改善の方向を見定め明らかにす